管理薬剤師の後任を、辞めると言われる前に用意する
調剤薬局の経営で、もっとも影響が大きい離職は管理薬剤師です。1人辞めるだけで店舗の運営体制そのものが揺らぎます。それでも「後任は誰か」が決まっていない薬局は少なくありません。
理由は単純で、日々の業務が回っているうちは考える必要がないからです。しかし辞意を伝えられてから動き始めると、選択肢は「高い費用で急いで採る」か「他店舗から無理に異動させる」の二択になります。どちらも本来避けられたはずのコストです。
まず「何人足りないか」ではなく「誰が抜けたら止まるか」で見る
採用計画は普通、人数で立てます。しかし管理薬剤師については、人数より代替可能性で見たほうが実態に合います。
店舗ごとに、次の3つを書き出してみてください。
- 現在の管理薬剤師は誰か
- その人が明日から出勤できなくなったとき、代われる人はいるか
- 代われる人がいない場合、どの店舗から誰を動かすことになるか
3で名前が出てこない店舗が、リスクの高い店舗です。人数上は足りていても、この意味では足りていません。
要件は先に確認しておく
管理薬剤師の設置や兼務については法令で定めがあり、実務上の運用は自治体の指導によっても変わります。「他店舗の人に兼ねてもらえばいい」と考えていたら実際にはできなかった、という事態を避けるため、自社の体制で何が可能かは事前に確認しておいてください。 ここは採用計画の前提条件になります。
内部育成と外部採用は、どちらか一方では足りない
後任の用意には2つの道があります。
内部育成 — 既存の薬剤師に経験を積ませて任せる。時間はかかりますが、店舗や患者を理解している人が就くため移行が滑らかです。ただし「なんとなく次はあの人」で止まっていることが多く、本人に伝わっていないケースが目立ちます。伝えていなければ、その人は普通に転職します。
外部採用 — 管理薬剤師の経験者を採る。即戦力ですが、経験者は市場に多くありません。条件だけで競うと大手や好条件の求人に流れます。
現実的には両方を並行して進めることになります。育成は時間がかかるので今すぐ着手し、採用は「今すぐ必要ではない状態」で始めたほうが選べる立場に立てます。
内部育成でやるべきこと
「次はあなたに任せたい」と伝えるだけでは足りません。伝えたあとに何が変わるかまで示す必要があります。
- いつまでに任せる想定か(時期)
- それまでに何を経験してもらうか(在庫管理、行政対応、シフト作成、指導など)
- 責任が増える分、処遇はどう変わるか
- 相談相手は誰か
特に3つ目が抜けると、「責任だけ増える話」として受け取られます。人によっては、それが転職の引き金になります。
採用側では「管理薬剤師になれる」ことが訴求になる
中途採用の候補者には、現職で管理薬剤師になれる見込みがなく、それを理由に動く人が一定数います。その層にとっては「何年でポジションを任せる想定か」が最大の訴求です。
言い換えれば、後任育成の計画をつくることは、そのまま採用の武器をつくることでもあります。条件以外の選ばれる理由をどう言語化するかは、薬剤師の中途採用で「条件以外の選ばれる理由」をつくる方法で詳しく整理しています。
紹介会社に依頼するときも同じ
管理薬剤師の採用を人材紹介会社に依頼する場合も、渡す情報の質で結果が変わります。「管理薬剤師募集」だけでは、条件で優位な求人が優先されます。任せる範囲、店舗の規模、既存メンバーの構成、いつまでに引き継ぐのかまで渡せると、紹介会社は候補者に推しやすくなります。この点は紹介会社から候補者は来るのに決まらない。原因は企業側にありますで詳しく書いています。
まとめ
管理薬剤師の後任は、辞意を伝えられてから考えるものではありません。店舗ごとに「代われる人がいるか」を洗い出し、育成と採用を並行して進める。その計画自体が、中途採用の訴求材料にもなります。
調剤薬局の採用支援では、この体制の棚卸しから一緒に進めます。まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で現状をお聞かせください。