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辞める人が特定の店舗に偏っている。店舗単位で離職を見る

「去年は3人辞めた」「今年も2人抜けた」。退職の話が会社全体の人数でしか語られていない会社は少なくありません。人数だけを見ていると、次にやることは「じゃあ何人採ろう」になります。ところが同じ3人でも、3店舗に1人ずつ抜けたのか、同じ1店舗から3人抜けたのかで、打つべき手はまったく別物になります。

採用を増やす前に確認したいのは、どこから人が抜けているかです。退職者を配属店舗ごとに並べるだけで、採用の問題なのか配属先の問題なのかの見当がつくことがあります。ここでは、既にある人事データだけで偏りを見つけ、要因を周辺から確かめ、配属の判断につなげるまでの手順を整理します。

まず、過去3年の退職者を一枚の表に並べる

新しく調査をする必要はありません。入社・退職の記録と配属履歴があれば足ります。退職者を1行ずつ、次の項目で並べてください。

列入れる内容見たいこと
氏名(または記号)個人が特定できる形は社内限定重複の排除
職種薬剤師/登録販売者/事務職種ごとの傾向
入社日・退職日月単位で可退職が集中する時期
在籍期間月数3ヶ月・1年・3年のどこで抜けたか
最終配属店舗異動があれば前職場も店舗の偏り
配属からの月数異動後に辞めた場合に重要異動が引き金かどうか
役職一般/管理薬剤師/店長役割による負荷
入社経路紹介・自社応募・新卒など採用チャネルとの関係

3年分で退職者が5人程度でも構いません。少ない件数でも、同じ店舗名が2回以上出てきたらそこから先を見る価値があります。

退職理由そのものをどう扱うかは辞めた薬剤師の退職理由から、採用要件を書き換えるで整理しています。ここでは理由の中身にはまだ踏み込まず、「誰がどこで何ヶ月で抜けたか」という事実だけを並べます。理由より先に分布を見る、という順番です。

採用の問題か、配属先の問題かを切り分ける

並べ終わったら、分布のかたちを見ます。おおまかには次の3パターンに分かれることが多いです。

分布のかたち読み方先に手をつける場所
複数店舗に1人ずつ散っている採用要件・事前説明・受け入れ手順など全社共通の設計募集条件と入社後90日の設計
特定店舗に2人以上集中しているその店舗の運営条件、または配属判断店舗の実態確認
役職者だけが抜けている管理薬剤師・店長の負荷と権限役割の切り分け

注意したいのは、店舗の規模差です。在籍10人の店舗で2人辞めるのと、在籍3人の店舗で2人辞めるのとでは重みが違います。退職者数ではなく、「その店舗に在籍した人数のうち何人が辞めたか」で並べ直すと偏りが見えやすくなります。また、1人だけ辞めた店舗でも、在籍期間が3ヶ月・5ヶ月と極端に短い場合は集中と同じ扱いで見ておきます。短期離職の受け入れ側の論点は入社3ヶ月で辞められる薬局。最初の90日にやることを決めておくにまとめています。

特定店舗に偏るとき、疑う要因

偏りが見つかった店舗について、要因の候補を挙げます。どれか一つに決めつけず、複数が重なっていると考えたほうが実態に近いことが多いです。

  • 管理薬剤師・店長のマネジメント:指導の仕方、シフト希望の通り方、相談の受け止め方。本人に悪意がなく、単に教える時間がないだけという場合もあります
  • 処方内容の難度と偏り:高度な無菌調製、小児、精神科など、特定領域に強く偏っている店舗は立ち上がりの負荷が高くなります
  • 応需枚数と人員のミスマッチ:枚数が増えたのに人員配置が据え置きのまま、という状態が続いていないか
  • 通勤距離と交通手段:採用時点で通える範囲でも、冬季の積雪や家庭の事情で現実的でなくなることがあります
  • 時間外・当番の集中:在宅の緊急対応や夜間の当番が、特定の店舗や特定の人に寄っていないか

このうち応需枚数、時間外時間、有給取得、当番回数は、本人に聞かなくても社内のデータで確認できます。感覚ではなく数字で店舗を並べると、それまで「あの店は大変だから」で済ませていたことが具体的な差として出てきます。

本人に聞けない前提で、周辺から確かめる

退職した本人に後から本音を聞くのは難しく、在職中の退職面談でも「家庭の事情」「キャリアアップのため」で終わることが多いものです。本人の言葉に頼らず、周辺から確かめる方法を用意しておきます。

  1. 数字で並べる:店舗別に、1人あたり応需枚数、月間時間外時間、有給取得日数、休日出勤回数、応援要請の件数を直近2年分。突出した項目があれば、それが候補です
  2. 残っている人に個別で聞く:全体ミーティングでは出ません。店舗を離れた場所で、1対1で、「新しく入った人が困ることは何か」という聞き方にすると答えやすくなります
  3. 異動者に聞く:その店舗を経験して別店舗に移った人は、比較ができる唯一の立場です。「前の店と今の店で、一番違うのはどこですか」と聞きます
  4. 本部への問い合わせ履歴を見る:シフト変更、備品、システムの質問など、特定店舗からの連絡が極端に多い/少ないのはどちらも兆候です

聞き取りをするときは、管理薬剤師を犯人扱いしない姿勢を先に示しておきます。原因が人ではなく条件側にあることも多く、犯人探しが始まると以降の情報が上がってこなくなります。

問題店舗に新人を配属しない、という判断

偏りが確認できた店舗には、しばらく新人を入れない判断があります。新卒や入社間もない中途をそこに置くと、本人が辞めるだけでなく、店舗の負荷がさらに上がります。

やむを得ず配属する場合は、条件をつけます。指導役を店長以外に別途置く、最初の3ヶ月は一人当番に入れない、本部の担当者が月1回は店舗外で面談する、といった形です。配属の伝え方そのものは配属店舗をいつ伝えるか。決まっていない段階での答え方で扱っています。

そして、直さずに採用を続けた場合のコストを一度計算しておくことをおすすめします。紹介手数料や求人費だけでなく、欠員期間中の応援シフト、残った人の時間外、引き継ぎと再教育の工数まで含めると、同じ店舗で2年に1度入れ替わる状態は相当な額になります。採用にかけてよい金額の考え方は、別記事に整理しています。

この店舗を直すか、直るまで配属を止めるか。どちらにしても、先に決めるのは採用人数ではなく、どこを手当てするかです。


退職者の並べ方、偏りの読み取り、配属判断の優先順位づけは、社内だけで判断すると「あの店長の問題」で止まりがちです。Talencoでは、採用計画の設計から内定フォロー・初期定着までを伴走支援しています(支援プラン)。まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で、採用設計をご一緒させてください。

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