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入社3ヶ月で辞められる薬局。最初の90日にやることを決めておく

苦労して採用した薬剤師が、3ヶ月ほどで「やっぱり合いませんでした」と辞めていく。特に中途で入った経験者に多く、しかも辞める前に不満らしい不満を聞いていない——このパターンに心当たりがある薬局・ドラッグストアは少なくありません。

こうしたとき、「あの人は合わなかった」「うちの現場は特殊だから」と本人の適性の問題として片付けられがちです。ただ、入社後の90日に何が起きていたかを振り返ると、多くの場合は共通しています。誰が教えるかが決まっていない、教える順番がその日の忙しさで変わる、面談の予定が入っていない。つまり、受け入れの設計がないまま初日を迎えている、ということです。

中途の薬剤師ほど放置されやすい

新卒であれば、教育担当を決めて研修計画を組む会社は比較的多いと思います。問題は中途です。薬剤師資格を持ち、他社で数年の経験がある人が入ってくると、「基本は分かっているはず」という前提が働きます。

しかし、実際に現場で必要なのは資格や一般的な調剤知識ではなく、その店舗固有のやり方です。レセコンの操作画面、在庫の発注ルール、近隣医療機関ごとの処方の癖、在宅の同行順、店舗間の応援の連絡経路。これらは経験年数では埋まりません。

さらに、経験者は「これ、どうやるんですか」と聞くことに心理的なハードルを感じやすい立場でもあります。周囲は「聞いてこないから大丈夫だろう」と判断し、本人は「今さら聞けない」と黙る。この状態が数週間続いたあと、静かに転職活動が始まります。即戦力という言葉は、受け入れ側が説明を省略する理由になりやすいという点は、意識しておいて損はありません。

決めておく4点

最初の90日に必要なのは、立派な研修プログラムではありません。次の4点を入社前に紙に落としておくだけで、状況はかなり変わります。

  1. 面談をいつ行うかを先に日程で押さえる
  2. 何を、どの順番で教えるかを決める
  3. 誰が指導役かを本人と現場の全員に伝える
  4. 3ヶ月時点で何ができていればよいかを言葉にする

1. 面談のタイミングを先に入れる

「何かあったら言ってね」は、機能しないことが多い言葉です。入社した側からすると、何が「何か」に当たるのか分からず、忙しそうな相手に切り出す口実もありません。

そこで、入社が決まった時点で面談の日程をカレンダーに入れてしまいます。目安は初日・1週目・1ヶ月・3ヶ月の4回です。

時期主に確認することかける時間の目安
初日指導役は誰か、今日どこまでやるか、困ったときの連絡先15〜30分
1週目実際にやってみて分からなかったこと、聞きづらかったこと30分程度
1ヶ月覚えた業務と未着手の業務の切り分け、勤務時間の実態30〜60分
3ヶ月到達状況のすり合わせ、次の3ヶ月で任せたい範囲60分程度

時間は目安で、店舗の体制によって変わります。重要なのは長さより、予定として先に存在していることです。予定があれば、本人は「あの面談で話そう」と困りごとを溜めておけます。

2. 教える順番を決める

その日の混み具合で教える内容が変わると、本人は「自分が何をどこまでできるようになったか」を把握できません。頻度が高く、失敗の影響が小さいものから順に並べるのが基本です。

期間中心に置く内容
1週目レセコン・調剤機器の基本操作、店舗の一日の流れ、備品と休憩の場所
2〜4週目主要な処方元の傾向、疑義照会の判断と連絡先、監査までの一連の流れ
2ヶ月目在庫の発注と期限管理、レセプト業務の関わり方、後方業務の分担
3ヶ月目在宅の同行から単独訪問へ、店舗間応援、後輩・実習生への関わり

在宅を行っている薬局では、いきなり訪問を任せず同行から始める順番にしておくと、本人の不安も現場の負荷も抑えやすくなります。

3. 指導役を明示する

「みんなで見る」は、結果として誰も見ていない状態になりがちです。指導役を一人決め、本人と、その日出勤する全スタッフに伝えます。指導役が休みの日は誰が代わるかまで決めておきます。

指導役に選ばれる人は、たいてい現場でも忙しい人です。指導の時間を業務として認め、その分の負担をどう調整するかを店舗管理者が引き受けないと、指導役自身が疲弊します。管理薬剤師に負荷が集中している薬局では、管理薬剤師の後任を、辞めると言われる前に用意するで扱った体制の話とあわせて考えると整理しやすくなります。

4. 3ヶ月時点の到達基準を書く

「一人前になる」ではなく、「一人で日勤帯を回せる」「主要処方元の疑義照会を自分で判断できる」といった具体的な状態で書きます。基準があると、本人は自分の進み具合を測れますし、指導役も評価に迷いません。

基準は選考のときに伝えていた話とずれないようにします。面接で「裁量が大きい」と伝えたのに、3ヶ月間ずっと確認待ちが続けば、話が違うと感じられます。この整合は、薬剤師の中途採用で「条件以外の選ばれる理由」をつくる方法で整理した訴求の言語化と地続きの問題です。

新卒は入社前から90日が始まっている

新卒の場合、内定から入社まで期間が空くため、受け入れ設計は入社日ではなく内定直後から始まります。内定期間の接点の持ち方は新卒の内定辞退を防ぐ。内定から入社までのフォロー設計で扱っていますが、そこで話した配属や業務範囲の内容が、入社後の90日とつながっていることが大切です。

また、新卒は国家試験の直後に入社するため、実務そのものへの不安が大きい状態から始まります。3ヶ月時点の基準を中途と同じにせず、「分からないことを分からないと言えている」ことを含めて見るほうが実態に合うことが多いでしょう。

90日の設計は、次の採用コストを下げる

3ヶ月で退職が出ると、採用にかけた費用と時間がそのまま消えるだけでなく、残ったスタッフの負担が増え、「またすぐ辞めるのでは」という空気が現場に残ります。受け入れの型を一度つくっておけば、次に採用する人にも使えます。

Talencoでは、採用戦略の設計から説明会・選考・内定フォロー、そして入社後の初期定着までを一貫して伴走しています。実務は自社で担い設計と実行管理を任せる「伴走コンサルティング」と、実務まで一貫して対応する「フルサポート」の2つのプランがあり、費用は人数・期間・体制によるお見積りです。詳しくは支援プランをご覧ください。

「採用はできているのに、続かない」という段階にいるのであれば、まずは現状の受け入れの流れを一緒に棚卸しするところからで構いません。無料相談(約30分〜・オンライン)で、採用設計をご一緒します。

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