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教える側が育っていない。新人指導役をどうつくるか

新人が辞めたとき、「あの店舗の指導が合わなかった」「教え方が厳しかった」という話に落ち着くことがあります。一方で、指導役を任された側に聞くと「自分の業務をこなしながら教えるのは無理だった」「どこまで教えれば終わりなのか分からなかった」という声が返ってくる。どちらも本当で、原因は個人の資質ではなく、教える側に何も渡していない状態で役割だけを載せたことにあります。

薬局・ドラッグストアの現場では、指導役は多くの場合「その店舗で一番手が空いていそうな薬剤師」に暗黙のうちに決まります。会社として何を渡し、何を引き取るかを決めていないと、指導の質は人によって大きく振れ、疲弊した指導役自身が次の離職者になることもあります。この記事では、指導役を支える仕組みを4つの論点で整理します。

まず、指導役に渡すものを決める

指導役が最初に困るのは「いつまでに何ができていれば正常なのか」が分からないことです。基準がないと、教える側は自分の経験を基準にするしかなく、「自分は3ヶ月でできた」という比較が生まれます。

必要なのは、会社が決めた到達基準と、日々の進捗を書き込めるチェックリストの2点です。到達基準の作り方そのものは新卒薬剤師の1年目に何をどこまで。独り立ちの基準を先に決めるで整理していますが、ここで強調したいのは、基準は新人向けの資料であると同時に、指導役の免責資料でもあるということです。基準に沿って進めていれば、遅れが出ても指導役個人の責任ではなく、会社が手を打つ対象になります。

チェックリストは項目を増やしすぎないほうが回ります。1ヶ月目・3ヶ月目・6ヶ月目の区切りで各10項目前後、「できる/同席なら可/未着手」の3段階で足ります。紙1枚で、指導役と新人が同じものを見られる形にしておくと、認識のズレが早く見つかります。

指導にかかる時間を、業務として数える

指導役が疲れる最大の理由は、指導が自分の通常業務に上乗せされていることです。処方箋を捌きながら教える前提では、教える側も教わる側も余裕がありません。

対応は難しく考える必要はなく、時間を可視化して勤務表に載せるだけでも変わります。

項目決めておくこと例
指導に使う時間週あたりの目安時間週2〜3時間を上限に設定し、シフト上で確保する
誰が穴を埋めるかその時間の人員手当パート勤務の追加、応援シフト、繁忙時間帯を外す
記録の方法誰が何分使ったかチェックリストの余白に日付と所要時間を書く
見直しの時期負荷が高すぎないか確認1ヶ月後に指導役へヒアリング

時間を確保できない月が続くようなら、それは指導役の問題ではなく人員配置の問題です。店舗の受け入れ余力を超えている可能性を、採用側で検討する必要があります。現場に協力を求めるときの説明の順番は現場が採用に協力してくれない。店舗を巻き込むための説明の順番も参考にしてください。

相談先を、店長以外にもう一本置く

指導役が新人のことで悩んだとき、相談相手が店長しかいないと、話が「評価」や「配置転換」に直結してしまい、相談しづらくなります。「まだ言うほどではない」と抱え込んでいるうちに、新人側の不満が先に限界を迎える、という順番になりがちです。

そこで、店舗の指揮命令系統とは別に、指導役が相談できる相手を1人決めておきます。他店舗の管理薬剤師、エリア担当、本部の人事担当など、評価権を持たない立場の人が向いています。月1回15分の電話や面談でも十分で、聞く内容は次の3つに絞れます。

  • チェックリストの進み方は、他店舗と比べてどうか
  • 指導役自身の負荷は許容範囲か
  • 新人から出ている質問や不満で、会社が拾うべきものはあるか

同期がいない環境で新人が孤立する問題とあわせて考えると効果が出やすく、新卒を1人だけ採る会社の受け入れ。同期がいない前提で設計するでも触れた「相談相手の複線化」と同じ発想です。

評価に反映する範囲は、先に線を引く

指導役を評価に反映すること自体は妥当ですが、反映の仕方を誤ると逆効果になります。新人の定着や到達スピードを指導役の成績に直結させると、遅れている新人を抱えた指導役が不利になり、問題の報告が上がってこなくなります。

評価するのは結果ではなく、行動と記録に限定するのが無難です。

評価に入れやすいもの評価に入れないほうがよいもの
チェックリストの記録が残っているか新人が辞めたかどうか
月1回の面談を実施したか到達までの日数の速さ
課題を上長・相談先に共有したか新人本人の評価点

手当として月額で支給する形にする場合も、金額の多寡より「役割として認められている」ことのほうが効きます。処遇のつくり方は評価制度全体と関わるため、社内の等級や昇給の考え方と矛盾しない範囲で決めてください。

同じ人に固定しない。2年で交代させる

教えるのが上手い人に集中させると、短期的には回りますが、その人の通常業務が痩せ、数年で疲弊します。指導役は2年程度で交代させる前提を、最初から社内で共有しておくほうが続きます。

交代を前提にすると、引き継ぎのためにチェックリストや記録が残るようになり、指導のやり方が個人の中ではなく会社の中に蓄積されます。前任者を「相談先」の候補に回せば、経験も失われません。交代の目安としては、1人目の新人を受け持って1年、2人目で1年、そこで次の薬剤師に渡す、という流れが組みやすいでしょう。指導役を経験した薬剤師が複数いる状態は、店舗展開や欠員対応の余力にもつながります。

なお、受け入れ全体の段取り(最初の90日に何をするか)を決めていない状態で指導役だけを整えても効きにくいため、順番としては入社3ヶ月で辞められる薬局。最初の90日にやることを決めておくの設計を先に置くことをおすすめします。

まとめ

指導役をつくるとは、教え上手な人を探すことではなく、到達基準・時間・相談先・評価という4つを会社が用意することです。この4つが揃うと、指導は属人的な善意から、引き継げる業務に変わります。

Talencoでは、採用戦略の設計から選考、内定フォロー、入社後の初期定着までを一貫して伴走支援しています。指導役の立て方や到達基準の言語化を含め、自社の体制に合わせた設計をご一緒します。支援プランをご覧いただき、まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で現状をお聞かせください。

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