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病院が新卒薬剤師を採る。見学会と選考時期の組み立て

病院薬剤部の新卒採用は、求人媒体よりも「病院見学会」と「実務実習の受け入れ」という二つの接点で動くことが多いのが特徴です。学生側も、病院志望であれば自分から見学を申し込んできます。接点そのものは持てている。それなのに採用が思うように進まない病院では、原因が接点の有無ではなく、動き出す時期と選考の置き方にあることが少なくありません。

薬局やドラッグストアが早い時期から説明会と選考を回しているあいだ、病院側は「見学には来てもらっているが、選考はまだ先」という状態で止まる。学生は進路を一本に絞り切れないまま、先に内定が出たほうへ気持ちが傾いていく。この記事では、訴求内容(何を伝えるか)ではなく、時期の設計だけに絞って整理します。

病院の採用が後ろにずれやすい理由

病院薬剤部の採用が遅れるのは、担当者の意識の問題ではなく、組織の仕組みから生じていることが多くあります。

ひとつは、採用人数が年度予算と欠員の確定を待って決まること。薬剤部が「来年は2名ほしい」と考えていても、定数や人件費の枠が固まるまで正式に動けない病院は珍しくありません。もうひとつは、採用の実務が人事課(事務部門)にあり、医師・看護師を含む全職種の採用スケジュールの中で薬剤師が一枠として扱われること。看護師の採用動線に合わせると、薬学生の動く時期とずれることがあります。

結果として、学生が進路を決めつつある時期に「まだ募集要項が出ていない」という状態になりやすい。薬学生の学事と採用時期の全体像は薬学生の新卒採用スケジュール。6年制の学事と採用活動の重ね方で整理していますので、年間の枠組みから確認したい場合はあわせてご覧ください。

見学会は、いつ何回開くか

病院見学会を「学生から申し込みがあったときに個別対応する」運用にしていると、受け入れ可否が薬剤部の繁忙に左右され、学生から見ると申し込みのハードルが高くなります。日程を先に決めて公開する形に変えるだけで、接点の数は安定しやすくなります。

回数は、採用人数が数名規模であれば年2〜4回程度を基本に考え、以下のように性格を変えて置くと重複しにくくなります。

時期の目安主な対象位置づけ
春(年度初め)5年生・低学年病院薬剤師の仕事を知ってもらう回。進路を広く迷っている層向け
夏5年生中心業務を細かく見せる回。病棟・無菌調製・チーム医療の実際
秋〜冬5年生・6年生志望度の高い層向け。選考の流れと時期を明示する回
随時6年生・既卒個別対応枠。欠員補充や追加募集に対応

重要なのは、秋以降の回で「この後どう選考が進むのか」を必ず伝えることです。見学して終わりにすると、学生は次のアクションが分からないまま他社の選考に流れます。日程が未確定でも、「◯月ごろに募集要項を出し、◯月に試験を行う予定」と幅で伝えておくだけで、待ってもらえる確率は上がります。

見学会の案内は、大学のキャリアセンター経由と自院サイトの両方に置きます。キャリアセンターへの渡し方は大学キャリアセンターに渡す資料を作る。求人票と別に必要なものが参考になります。

実習生に進路の話をどの段階で切り出すか

実務実習は採用の場ではありません。教育が目的であり、実習中に選考を匂わせる扱いをすると、学生が評価を気にして実習に集中できなくなります。指導薬剤師と採用担当が同一人物になりがちな病院ほど、この線引きを先に決めておく必要があります。

実務上は、次のように段階を分けて考えると整理しやすくなります。

  • 実習期間中:進路の話はこちらから持ちかけない。学生から質問された場合のみ、事実として採用の時期や人数の見込みを答える
  • 実習の最終週:「病院を志望する場合、見学会と募集の時期はこうなっている」と情報として渡す。志望を確認する場にはしない
  • 実習終了後:数週間〜1ヶ月ほど空けて、見学会や説明会の案内を送る。全員に同じ案内を送る形にすると、個別の勧誘になりにくい

実習受け入れと採用の関係整理は薬局を前提にした記事ですが、考え方の土台は共通です。薬局の実務実習受け入れは、新卒採用にどうつながるかを参照してください。

人事課と薬剤部の役割を先に書き出す

病院で採用が止まる典型は、「人事は薬剤部が動くと思い、薬剤部は人事が出すと思っている」状態です。誰が何をいつまでにやるかを、年度の初めに一枚に書き出しておきます。

項目主担当の目安決めておくこと
採用人数・予算人事課+薬剤部長いつまでに確定させるか(確定前でも見学会は動かす)
見学会の日程・告知薬剤部年度初めに全回の日程を決め、人事課へ共有
大学への求人票提出人事課大学ごとに受付時期・様式が違う。年度により変わるため最新の要領を確認
見学会当日の運営薬剤部案内する部署、同席する若手、所要時間
書類受付・日程連絡人事課返信までの日数の基準を決める
面接・試験人事課+薬剤部誰が同席するか、評価の観点
内定後のフォロー薬剤部連絡の頻度と担当者

病院は職種ごとに採用の事情が違うため、「薬剤師については薬剤部が前に出る」と明文化しておくほうが動きやすくなります。応募者への返信が遅れると、それだけで他へ流れます。

数名採用の前提で、選考回数と内定時期を置く

採用人数が1〜3名程度であれば、選考を何段階にも分ける必要は薄くなります。むしろ回数が多いほど学生の負担が増え、日程調整のあいだに他院・他社の結論が出てしまいます。

現実的な形は、見学会への参加を実質的な一次接点とし、書類(エントリーシート・成績証明など)+試験・面接を1〜2回にまとめる構成です。筆記試験や小論文を課す場合も、面接と同日に実施して来院回数を減らすと、遠方の学生の負担が下がります。

内定時期は、「薬局・ドラッグストアの内定が出そろう前に一度結論を出せるか」で考えます。全体より遅く出す設計にすると、第一志望が病院だった学生まで取りこぼすことがあります。年度により学生の動き方は変わるため、前年の応募者がどの時期に他社の選考を受けていたかを記録し、翌年の設計に反映させてください。

内定から入社までは国家試験を挟む長い期間になります。この区間の設計は薬剤師の内定辞退はなぜ起きるのか。国家試験までの長い期間のフォロー設計で扱っています。

時期を整えたうえで、伝える中身を考える

ここまでは時期の話に絞りました。給与面で調剤薬局やドラッグストアと同じ土俵に乗りにくい前提のもとで何を伝えるかは別の設計になります。そちらは病院薬剤師に選ばれる訴求のつくり方。給与で勝てない前提から考えるにまとめています。

時期の設計と訴求の設計は、どちらか一方だけでは効きにくいものです。早く会えても伝える中身が整理されていなければ決まらず、中身が良くても会う時期が遅ければ比較の土俵に乗れません。

Talencoでは、見学会の年間設計から選考フローの組み直し、内定後のフォローまでを一緒に設計しています。実務まで引き受ける「フルサポート」と、設計と進行管理を担う「伴走コンサルティング」の2つから、体制に合わせて選べます。詳しくは支援プランをご覧ください。

現状の見学会の回数や選考時期が適切かを確認したい段階でも構いません。無料相談(約30分〜・オンライン)で、採用設計をご一緒します。

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