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母集団形成・訴求

薬局の採用にSNSは要るのか。始める前に決める運用範囲

「うちもインスタを始めたほうがいいのでしょうか」という相談をいただくことがあります。同業の薬局が店舗の様子を投稿しているのを見て、やらないと遅れている気がする。けれど誰が撮って誰が投稿するのか決まっておらず、患者さんが写り込んだらどうするのかも整理できていない。この状態で始めると、数ヶ月で更新が止まり、最終更新が半年前のアカウントだけが残ります。

結論から書くと、薬局・ドラッグストアの採用においてSNSは母集団形成の主力にはなりにくい一方、応募前に雰囲気を確認される場としては機能します。始めるかどうかより、始める前に運用範囲をどこまで決めておくかで結果が分かれることが多いです。

SNSは「集める場所」ではなく「確認される場所」

薬剤師や薬学生は、求人媒体や紹介会社、学校経由で会社を知ります。そこで名前を見たあと、社名で検索し、採用ページや口コミ、SNSを見にいく。この流れが一般的です。

つまりSNSの役割は、知らない人に見つけてもらうことより、すでに社名を知った人が「ここで働いている人はどんな感じか」を確かめることにあります。フォロワー数を追いかける設計にすると、投稿内容が採用と関係のない方向に寄っていき、労力に対して採用への寄与が見えなくなりがちです。

この前提に立つと、必要な投稿量は思ったより多くありません。逆に、応募前に必ず見られる採用ページの情報が足りていないなら、SNSより先にそちらを整えるほうが効きやすいです(薬剤師の採用ページに何を載せるか。候補者が最後に確認する情報)。

始める前に決める4つのこと

運用ルールは、アカウントを作る前に紙1枚にまとめておきます。決めるのは次の4点です。

決めること決めておく内容の例
投稿者と承認者撮影・原稿作成を担う人(複数名)と、公開前に確認する人を1名指名する
撮影・掲載のルール写してよい場所、写さないもの、社員の写真掲載の同意の取り方
投稿頻度の下限月2回など、下限だけを決める。上限は設けない
やめどき・見直しの基準何ヶ月やって、何が動かなければ形式を変えるか休止するか

投稿者と承認者を分ける

現場スタッフが撮影・投稿まで一人で担うと、判断に迷ったときに止まります。撮る人と、公開前に見る人を分けてください。承認者は1名に固定し、不在時の代理も決めておきます。承認は「この写真に問題がないか」「この表現が誤解を生まないか」の2点を見るだけで十分です。

採用担当が店舗運営と兼務の会社では、この役割分担を先に決めないと業務ごと止まります。他の採用業務との優先順位の付け方は採用担当が兼務の薬局で、採用業務を止めずに回す体制で整理しています。

撮影と掲載のルールを文章にする

薬局は、他業種より写り込みの危険が高い職場です。次のものが画角に入っていないかを、撮影時と公開前の2回確認する運用にします。

  • 患者・来局者の姿、待合の様子(後ろ姿や一部でも避ける)
  • 処方箋、薬歴、レセコンや電子薬歴のモニター画面
  • 氏名の入った薬袋、お薬手帳、申し送りのメモやホワイトボード
  • 特定の医療機関名や処方内容が推測できる掲示物

社員が写る場合は、事前に同意を取り、退職時の扱い(削除するか残すか)も合わせて決めておきます。口頭の了承だけだと、後から取り下げを求められたときに対応が揃いません。開店前・閉店後に撮る、調剤室は限られた画角だけにする、といった運用にすると判断が楽になります。

投稿頻度は「下限」だけ決める

毎日投稿を目標にすると続きません。月2回程度を下限の目安として置き、続けられそうなら増やす。この順番のほうが現実的です。候補者から見て問題になるのは投稿数の少なさより、最終更新が半年前で止まっている状態です。

やめどきを先に決める

始める前に「3〜6ヶ月運用して、採用ページへの流入や応募時の言及、説明会での話題化のいずれも動かなければ形式を変えるか休止する」と決めておきます。休止する場合も放置はせず、プロフィール欄に採用ページのリンクを残し、更新を止めた旨を書くか、アカウントを非公開にします。

学生と中途では、見られ方が違う

同じアカウントでも、薬学生と転職を考える薬剤師では見るポイントが変わります。

薬学生(新卒)薬剤師(中途)
見るタイミング説明会の前、エントリー前、親に相談するとき求人票を見た後、面接前
気にしていること若手が何年目で何をしているか、雰囲気、同年代の存在忙しさの実態、店舗の規模感、誰と働くか
効きやすい投稿入社1〜3年目の社員の一日、研修や勉強会の様子店舗紹介、在宅や設備など業務の中身が分かるもの
注意点保護者も見る可能性がある在職中のため、閲覧が知られない形で見ている

学生側については、企業側の想定と学生が実際に気にする論点がずれていることがあります。詳しくは薬学生は何を見て就職先を決めているのか。企業側の思い込みとのズレをご覧ください。

中途の場合、SNSを見て応募をやめる判断はしても、SNSを見て応募先を探すことは多くありません。中途向けに力を入れるなら、SNSより求人票と選考の速度に手を入れるほうが変化が出やすいです。

投稿内容に迷ったら、面接で説明していることを書く

ネタ探しから入ると続きません。面接や説明会で毎回口頭で説明していること——一日の流れ、在宅の件数と体制、研修の進み方、休みの取り方——を、写真1枚と3行のテキストにして出すだけで十分に機能します。同じ内容を採用ページにも置けば、説明の手間も減ります。

SNSは、採用の全体設計の中では優先順位の高い施策ではありません。ただし、他のチャネルで会社を知った人が最後に見る場所として、放置されているより整っているほうがよいのは確かです。「やる」と決めたなら範囲を絞り、「やらない」と決めるのも同じく正しい判断です。

自社の場合どこに手を入れるべきか、チャネル全体の中で判断したいときは、支援プランをご覧いただくか、無料相談(約30分〜・オンライン)で採用設計をご一緒します。新卒・中途のどちらにも対応しています。

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