採用担当が兼務の薬局で、採用業務を止めずに回す体制
薬局やドラッグストアで採用を担当している方の多くは、専任ではありません。店長や管理薬剤師、エリア担当、あるいは経営者本人が、日々の店舗運営と並行して求人を出し、面接をしています。そして忙しくなると採用は必ず後ろに回ります。処方が立て込んだ日、欠員が出た日、監査対応が入った日に、応募者への返信は翌週に持ち越されます。
これは担当者の意欲や能力の問題ではなく、優先順位が構造的に決まってしまう仕組みの問題です。目の前の患者と、まだ会っていない応募者を並べたら、現場は前者を選びます。だからこそ、兼務前提の会社では「頑張って両立する」のではなく、何を手放し、何だけは絶対に落とさないかを先に決めることが必要になります。
採用業務を「判断」と「作業」に分けて棚卸しする
採用が止まる原因を細かく見ていくと、止まっている工程はいつも同じです。応募者への一次連絡、日程調整、媒体の原稿更新、応募状況の集計。いずれも判断を必要としない作業で、しかも発生タイミングが読めないものです。
一方で、社内でしか決められないこともあります。どんな人を採るか、この人を通すか、いくらで出すか。ここを外に投げると採用の質が崩れます。まずは自社の採用業務をこの二種類に仕分けます。
| 区分 | 内容 | 誰が持つか |
|---|---|---|
| 社内に残す判断 | 採用要件(資格・経験・配属店舗・人数) | 経営者・採用責任者 |
| 社内に残す判断 | 書類・面接の合否、最終決定者 | 面接官+責任者 |
| 社内に残す判断 | 給与・勤務時間・入社日などの条件提示 | 経営者 |
| 社内に残す判断 | 面接での対話そのもの、職場見学の案内 | 店長・管理薬剤師 |
| 外に出せる作業 | 応募者への一次連絡(受付・案内メール) | 支援会社・事務担当 |
| 外に出せる作業 | 面接日程の調整、リマインド連絡 | 支援会社・事務担当 |
| 外に出せる作業 | 求人原稿の作成・更新、媒体の掲載管理 | 支援会社・媒体担当者 |
| 外に出せる作業 | 応募数・通過数の集計、進捗の可視化 | 支援会社 |
この表を自社版に書き換えるだけでも、兼務担当者が抱えている負荷のうち、どこが「その人でなくてもよい仕事」なのかが見えてきます。実際には社内の事務スタッフに寄せられる作業も少なくありません。全部を外注する前に、社内で誰に振れるかを確認しておくと無駄がありません。
なお、面接そのものは外に出せません。現場の店長や管理薬剤師が面接官を務める場合の評価のぶれ方については、店長・管理薬剤師が面接官をする会社で、評価がぶれないようにするで扱っています。
落とさない一線は「応募への返信期限」に置く
兼務体制では、すべての工程を理想の速度で回すことはできません。だから優先順位を一本に絞ります。応募が入ってからの一次返信だけは、何があっても期限内に返す。 ここを死守すれば、他が多少遅れても採用は致命傷になりにくくなります。
薬剤師は資格による転職力が強く、複数社を並行して見ていることが多いため、返信が遅れた企業は検討の対象から静かに外れます。これは条件の良し悪しではなく、順番の問題です。
| 工程 | 目安 | 兼務体制での担保方法 |
|---|---|---|
| 応募受付〜一次返信 | 当日〜翌営業日 | 定型文を用意し、判断を挟まず送る |
| 一次返信〜面接日提示 | 2〜3営業日 | 面接可能枠を月初にまとめて押さえておく |
| 面接〜合否連絡 | 2〜3営業日 | 面接直後に評価シートを埋め切る |
| 合否〜条件提示 | 3営業日以内 | 提示レンジを事前に承認済みにしておく |
上の日数はあくまで目安で、体制や職種によって現実的な線は変わります。重要なのは、数字を決めて社内で共有し、超えたときに誰が動くかを決めておくことです。
ここで効くのが「判断を先に済ませておく」やり方です。給与レンジ、勤務条件の可変幅、面接に呼ぶかどうかの最低ラインを事前に承認しておけば、応募が入るたびに経営者の判断を待つ必要がなくなります。承認待ちは、兼務体制でもっとも詰まりやすい箇所です。
求人原稿の段階で応募者の質がそろっていれば、この判断待ちも減ります。原稿の直し方は薬剤師の求人票に応募が来ない。原稿を書き直す順番にまとめています。
週1回30分の定例だけで回す
兼務担当者に「毎日採用のことを考えてください」と言っても実現しません。逆に、月1回では応募者の鮮度に間に合いません。現実的なのは週1回・30分の固定枠です。曜日と時間を決めて、店舗のシフトに組み込みます。
30分で扱う内容は絞ります。
- 今週入った応募と、その対応状況(誰が止まっているか)
- 面接予定と、面接官の割り当て
- 期限を超えている案件はあるか(あれば、その場で誰が返すか決める)
- 来週の面接可能枠の確定
この4つ以外は議題に載せません。媒体の見直しや採用要件の再検討は、四半期ごとの別枠で扱います。週次で戦略の話を始めると、30分では終わらず、結果として定例そのものが消えます。
議事録も1画面に収める前提で構いません。応募者名、応募日、現在の工程、次のアクション、担当者、期限。この6項目が並んだ表があれば、誰が見ても止まっている場所がわかります。
繁忙期に止まる前提で、逃げ道を用意する
年度末の異動時期、インフルエンザの流行期、新規出店の準備期間。採用が止まりやすい時期はあらかじめ読めます。その時期に採用工程が入ることがわかっているなら、事前に手当てをしておきます。
具体的には、繁忙期の面接を別の担当者に振れるようにしておく、その期間だけ一次連絡と日程調整を外に出す、面接可能枠を事前に多めに確保しておく、といった対応です。新卒採用の場合は学事の都合で動かせない時期があるため、薬学生の新卒採用スケジュール。6年制の学事と採用活動の重ね方を参照しながら、店舗の繁忙期と重なる箇所を先に洗い出しておくと調整しやすくなります。
人材紹介会社を使っている場合も、この考え方は同じです。紹介はスケジュールを外部が管理してくれるチャネルなので、兼務体制と相性がよい面があります。ただし紹介経由でも面接と合否判断は自社で持つため、そこが詰まれば結果は変わりません。
外に出す先を決めるときの見方
作業を外に出す先には、媒体の運用担当者、紹介会社、採用支援会社などがあります。選ぶときの基準は「作業を引き取ってくれるか」だけではなく、「進捗が止まったときに気づいて指摘してくれるか」です。兼務体制でいちばん怖いのは、誰も気づかないまま2週間放置されることです。
Talencoでは、採用戦略の設計から説明会・選考・内定フォロー・初期定着までを伴走支援しています。設計と実行管理を当社が担い実務は貴社で進める「伴走コンサルティング」と、実務まで一貫して対応する「フルサポート」の2プランがあり、兼務体制の会社では後者を選ばれることが多いです。スカウト送信だけ、媒体運用だけといった部分代行はお受けしていませんが、それは進捗全体を見ないと歩留まりが上がらないという考えからです。費用は人数・期間・体制によって変わるため、支援プランをご覧いただいたうえで個別に見積りをお出ししています。
まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で、いまの体制のどこが止まっているかを一緒に整理し、採用設計をご一緒します。