薬剤師の求人票に応募が来ない。原稿を書き直す順番
求人を出しているのに応募が来ない。そう相談をいただいたとき、多くの会社がまず考えるのは給与の引き上げです。ただ、給与を上げれば在籍社員の水準との整合も取らなければならず、判断には時間がかかります。その一方で、原稿は今日書き直せます。
同じ条件でも、書き方によって応募の数が変わることがあります。求職者は求人票を最初から最後まで読むわけではなく、上から順に読んで「自分に関係がなさそうだ」と思った時点で閉じるためです。ここでは、待遇を変えずに原稿だけで手を入れる場合に、どの順番で直すと効きやすいかを整理します。
書き直す順番には理由がある
原稿を全面的に書き直そうとすると、時間がかかるうえに何が効いたのか分からなくなります。読まれる順番と、離脱が起きやすい場所の順に手を入れるのが現実的です。
| 順番 | 直す場所 | ここで起きている離脱 |
|---|---|---|
| 1 | タイトル(求人件名) | 一覧の中でクリックされない |
| 2 | 冒頭3行 | 開いたが数秒で閉じられる |
| 3 | 仕事内容 | 他社と区別がつかず比較対象から外れる |
| 4 | 数字・具体の追加 | 読んだが応募ボタンを押すほどの確信が持てない |
| 5 | 待遇・条件の書式 | 条件は良いのに読み取れない |
上から順に直し、1〜2週間ごとに反応を見ます。全部を一度に変えると原因の切り分けができません。
タイトルは「誰向けか」を先頭に置く
求人媒体の一覧画面では、タイトルの先頭20〜30文字程度しか表示されないことがあります。そこに会社名や「薬剤師募集」だけを置くと、他社と横並びになります。
- 修正前:薬剤師募集/〇〇薬局/未経験歓迎
- 修正後:在宅同行あり/1日平均処方箋40枚前後の門前薬局/薬剤師(正社員)
「未経験歓迎」「アットホーム」といった語は、どの求人にも書かれているため差になりません。代わりに、自社の業務の中身が一言で分かる語を先頭に置きます。ブランクからの復帰者を狙うのか、在宅に関心のある人を狙うのかで、置く言葉は変わります。誰に読ませたい原稿かが決まっていない場合は、薬剤師の中途採用で「条件以外の選ばれる理由」をつくる方法を先に確認してください。
冒頭3行で「読む理由」を渡す
本文の書き出しが「当薬局は地域医療に貢献してまいりました」で始まる原稿は多く見かけます。会社の歴史は求職者にとって後で読めばよい情報です。冒頭には、その人が働く姿が想像できる情報を置きます。
修正前:当社は地域に根ざした薬局として、患者様に寄り添った医療を提供しています。アットホームな職場です。
修正後:内科・整形外科の処方が中心の店舗です。薬剤師3名・事務2名で回しており、在宅は月に数件、日中の訪問を交代で担当しています。18時に閉局し、残業は繁忙日以外はほとんどありません。
後者は特別なことを書いていません。今ある事実を並べただけです。読み手が知りたいのは「何科の処方を、何人で、どのくらいの時間帯で扱うのか」であり、そこが埋まると応募の判断ができます。
仕事内容は一日の流れで書く
仕事内容欄に「調剤業務、服薬指導、在庫管理」と並べるだけでは、どの薬局も同じ文面になります。一日の流れとして書くと、忙しさの質が伝わります。
朝の開局前に何をするか、混雑する時間帯はいつか、昼休みは取れるのか、閉局後の作業はどれくらいか。ここに書けることがないという場合は、実際に店舗の1日を管理薬剤師にヒアリングして書き起こすところから始めます。採用担当が想像で書いた原稿は、面接で話がずれ、入社後の早期離職につながることがあります。
曖昧語を、事実に置き換える
原稿でいちばん多いのが、意味の広い形容詞です。置き換えの方向は「その言葉を使った理由になっている事実は何か」を掘ることです。
| よく使われる表現 | 置き換えの方向 | 書き換え例 |
|---|---|---|
| アットホームな職場 | 人数構成と関係性の事実 | 常勤4名・パート2名。シフトは前月15日までに全員の希望を聞いて確定しています |
| 風通しが良い | 意思決定の距離 | 備品や機器の購入は店舗判断。社長との面談が半年に1回あります |
| 未経験歓迎 | 教育の中身と期間 | 入社後3ヶ月は先輩と2名体制。監査は1ヶ月目から段階的に担当します |
| 残業少なめ | 実績の幅 | 月の残業は0〜10時間程度。棚卸のある月は増えることがあります |
| 幅広い業務経験 | 具体的な業務名 | 在宅、無菌調剤、学生の実務実習指導に関わることができます |
数字を書く際は、良い月だけを取り出さないことが大切です。幅と例外を添えたほうが、面接での説明と食い違いにくくなります。
媒体ごとに、同じ原稿を使い回さない
書き直した原稿は複数の場所で使うことになりますが、そのまま貼り付けると読まれ方が変わります。
ハローワークの求人は項目ごとの文字数上限があり、長文が入りません。ここは条件と業務内容を正確に、簡潔に書く場所と割り切ります。求人媒体は写真やフリー項目が使えるため、一日の流れやスタッフ紹介を厚くします。自社の採用ページは文字数の制約がないので、最も詳しい版を置き、媒体からの流入先にします。
また、新卒向けと中途向けで原稿を分けてください。薬学生は仕事内容そのものを知らない前提で読み、転職者は現職との差分を読みます。同じ文面では、どちらにも届きにくくなります。新卒側の設計は薬局・ドラッグストアが初めて新卒採用を始めるときの進め方にまとめています。
応募が増えた後に詰まる場所
原稿を直して応募が増えても、その後の連絡が遅れれば結果は変わりません。応募から一次面接までの日数、面接での説明内容、条件提示のタイミングまでを合わせて見直すことをおすすめします。紹介会社経由の候補者が決まらない場合も、原因が原稿ではなく選考側にあることがあります。詳しくは紹介会社から候補者は来るのに決まらない。原因は企業側にありますをご覧ください。
原稿は、書き直すこと自体より「何を事実として書けるか」を社内で洗い出す作業に時間がかかります。自社の言葉が出てこない、どこを差別化点にすべきか判断がつかないという場合は、無料相談(約30分〜・オンライン)で現在の求人票を拝見しながら書き直しの方向をご一緒に整理します。原稿だけでなく、媒体選定から選考・定着までを含めた設計をご希望の場合は支援プランをご確認ください。