内定を辞退された後、その年の採用をどう立て直すか
採用に時間をかけ、内定を出し、入社を見込んで店舗の人員計画も組み直した。そこに辞退の連絡が入る。最初に来るのは落胆ですが、その次に必要なのは「この年の計画をどう組み直すか」という判断です。防止策の話は入社までのフォロー設計に譲るとして、ここでは起きてしまった後に何をどの順番で決めるかに絞って整理します。
辞退の連絡を受けた直後は、感情と実務が混ざりやすい時期です。引き止めに時間を使うのか、すぐ次の手に移るのか、来年に回すのか。この判断を数日のうちに置けるかどうかで、その年の着地が変わります。
まず、辞退の事実と理由を確定させる
最初にやるのは、辞退が確定なのかどうかの確認です。「他社と迷っている」段階であれば、まだ会話の余地があります。確定している場合は、引き止めの交渉と理由を聞く場を分けてください。同じ電話で「どうしたら残ってくれるか」と条件を出すと、理由は本音で返ってきません。
確定後の連絡は、短く、責めない形で行います。メールや電話で「今後の参考にしたいので、差し支えない範囲で決め手を教えてほしい」と伝え、回答は任意である旨を添えます。聞きたいのは次の3点に絞ると答えが返りやすくなります。
- 最終的にどこと比較したか(業種・規模・勤務地の傾向だけでよい)
- 自社の情報で分からないまま残ったことはあったか
- 選考のどの時点で気持ちが傾いたか
学校経由で接点を持った学生の場合、大学のキャリアセンターや研究室にも一報を入れておくと、翌年の関係が切れにくくなります。辞退を黙って終わらせると、学校側には「内定を出したのに連絡がない企業」として記録が残ることがあります。感謝と、来年も求人を出す意思を短く伝えておけば十分です。
補充に動くか、来年に回すか
次の判断は、年度内に追加で動くか、翌年の採用に組み替えるかです。欠員の時期・既存店の余力・学校との関係への影響という3つで見ると整理しやすくなります。
| 見る点 | 補充に動くほうが合う状況 | 来年に回すほうが合う状況 |
|---|---|---|
| 欠員の時期 | 4月時点で人員が不足し、応需や在宅に影響が出る | 既存社員の異動や増員で4月を越せる見込みがある |
| 既存店の余力 | 特定店舗に負荷が集中し、管理薬剤師の残業が常態化しそう | 複数店で分散でき、半年程度は現状維持が可能 |
| 採用工数 | 採用を見る担当が年度内も動ける | 学校訪問や次年度の設計に工数を振りたい |
| 学校との関係 | 追加募集が学校経由でも成立する地域 | 急な追加募集が学校との関係に合わない場合 |
判断を先送りしないために、「何月何日までに追加の内定が出なければ来年に回す」という期限を先に置くことをおすすめします。期限のない追加募集は、採用も運営の立て直しも中途半端になりがちです。欠員が出た状態で店舗をどう回すかについては、薬剤師が採れるまでの間、店舗をどう回すか。欠員時の優先順位で優先順位の付け方を整理しています。
追加募集に切り替える場合の現実的な手段
秋以降に新卒の母集団を一から作り直すのは現実的ではありません。すでに存在している層に当たり直すほうが、時間あたりの可能性は高くなります。
| 振り替え先 | 動ける時期の目安 | 留意点 |
|---|---|---|
| 進路が決まっていない6年生 | 秋〜国家試験前 | 学業と国試対策が優先。接点の回数は絞る |
| 既卒・国試再受験者 | 合格発表後が中心 | 合格前提で出す内定の条件を事前に決めておく |
| 中途(経験者・ブランクあり) | 通年 | 新卒の役割をそのまま当てはめない |
| パート・時短の複数名 | 通年 | 常勤1名分をシフトで構成する前提で設計する |
既卒や国試再受験者は競合が少ない層ですが、合格前提の内定をどう扱うかを決めずに声をかけると、不合格時に双方が困ります。考え方は国家試験に落ちた学生・既卒の受験者を採用ターゲットにするにまとめました。
中途に振り替える場合、「新卒1名分の人件費枠で経験者を探す」という前提は崩れることが多い点に注意してください。枠そのものを組み直すか、パート複数名で埋めるかを先に決めておくと、面接の途中で条件が揺れずに済みます。
社内にどう説明するか
辞退は、採用担当だけの問題として処理すると現場に不信が残ります。説明で触れておきたいのは次の3点です。
ひとつ目は、4月時点の人員がどうなるかという事実。見込んでいた1名が入らないこと、どの店舗にどの程度の影響が出るかを数字で示します。ふたつ目は、会社として取る選択肢。補充に動くのか、来年に回すのか、期限はいつかを明示します。三つ目は、現場に依頼することの範囲と期間です。応援シフトや残業の増加を頼むなら、「いつまで」を添えてください。
原因探しの場にしないことも大事です。見学を受け入れた店舗や面接に同席した社員が「自分のせいか」と受け取ると、翌年の協力が得られにくくなります。会話は原因ではなく、次の打ち手と期限に向けます。
来年に回すと決めたら、何を残すか
来年に回す判断は、後退ではありません。年度内の追加募集に工数を割くより、学校との接点づくりや選考設計の見直しに充てたほうが、翌年の確度が上がる場合があります。
残しておきたいのは、辞退者から聞いた決め手、選考のどの工程で離脱が起きたか、比較された相手の傾向、学校・紹介会社とのやり取りの記録です。記録の型は今年の採用を振り返る。来年のために残しておく記録にまとめています。来年変えることをひとつに絞って決めておくと、翌年の設計が手探りになりにくくなります。
辞退が起きた年は、補充・現場対応・翌年の設計が同時に走るため、社内だけで優先順位を置くのが難しくなりがちです。Talencoでは、採用戦略の設計から説明会・選考・内定フォロー・初期定着までを伴走でご一緒しています。実務は自社で持ちながら設計と進行管理を任せる形と、実務まで含めて任せる形の2つをご用意しています。詳しくは支援プランをご覧ください。
まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で、今年の立て直しと来年の設計を一緒に組み立てるところから始めてみてください。