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新卒採用に出遅れた。秋冬から薬学生を採りにいく方法

春は店舗が忙しく、説明会の準備まで手が回らなかった。気がつけば秋になり、「もう今年の新卒は無理だろう」と半ばあきらめている——薬局やドラッグストアの経営者から、この時期によく聞く話です。たしかに春から夏にかけて動いていた会社と比べれば不利ですが、秋冬がゼロかというとそうではありません。

6年制の薬学生には、卒業試験と薬剤師国家試験という大きな山が年度の後半に控えています。そのため「夏までに決めきれなかった学生」が一定数残り、しかもその多くは、能力の問題ではなく事情やタイミングの問題で未決定のままになっています。この記事では、秋冬から動き出す場合に誰に・どこで会い、どう短期で決めてもらうかを整理します。学年全体の流れを先に押さえたい方は、薬学生の新卒採用スケジュール。6年制の学事と採用活動の重ね方もあわせてご覧ください。

秋冬に未決定で残っている学生は、どんな事情を抱えているか

まず、「この時期に残っている学生は売れ残りではないか」という先入観を外すところから始めます。実際に話を聞くと、次のような背景が多く見られます。

  • 大手の選考が終わった後に動き出した。春先は知名度のある企業から順に受け、結果が出てから中小や地元企業を見始める学生がいます
  • 進路を途中で変えた。病院志望だったが採用枠が合わなかった、製薬を見ていたが調剤に方向転換した、というケースです
  • 地元に戻ることにした。都市部の大学に通いながら、家庭の事情や生活設計を考えて卒業後は実家に戻ると決める学生は毎年います(地元に帰りたい薬学生を採る。Uターン希望者に届く接点)
  • 研究室や実習が忙しく、就職活動に時間を割けなかった。卒業研究の進み具合によっては、春夏がほぼ動けない期間になることがあります
  • 国家試験に不安があり、就職活動を後回しにしていた

つまり、秋冬の未決定層は「比較検討が遅れた層」「進路を変えた層」「物理的に動けなかった層」が中心です。ここに、既卒で再受験する人や、留年で1年遅れる学生も加わります。こちらは競合が少ない一方で、勉強との両立という別の設計が要るため、国家試験に落ちた学生・既卒の受験者を採用ターゲットにするで扱っています。

この時期に持てる接点は限られる。優先順位をつける

秋冬は学生の可処分時間が減るため、春と同じやり方(大規模な合同説明会で母集団を集める)は噛み合わないことが多くなります。少人数でも確実に会える経路に寄せるのが現実的です。

接点動き方向いている時期の目安
大学キャリアセンターへの追加依頼「未決定の学生がいれば個別に案内してほしい」と伝え、1〜2枚の資料を置かせてもらう秋以降、随時
学内の後期ガイダンス・求人説明の場枠が残っていないか問い合わせる。小規模でも参加者は本気度が高い後期授業期間中
研究室・指導教員経由すでに接点がある場合に限る。初対面から依頼するのは難しい卒研の区切りがつく時期
既卒・国試再受験者予備校や個人のつてから。合格発表後に動く設計も併用通年+発表直後
自社の実習受け入れ・アルバイト経験者過去に関わった学生へ直接連絡するいつでも

このうち、最も早く動けるのがキャリアセンターへの追加依頼です。求人票を出していても、学生に個別案内されるかどうかは別問題で、担当者が「どんな会社で、どんな学生に向くか」を把握しているかに左右されます。渡す資料の中身は大学キャリアセンターに渡す資料を作る。求人票と別に必要なものに整理しました。なお、学事日程も求人票の受付様式も大学ごと・年度ごとに違うため、最新の要領を各校に確認してください。

短期決戦の選考をどう組むか

秋冬に会えた学生は、国家試験までの残り時間を気にしています。春と同じく「説明会→一次→二次→最終」と4段階に分けると、途中で面倒になって離脱されやすくなります。工程を減らし、1回あたりの情報量を増やす方向で組み直します。

工程春型秋冬型の組み替え例
接点合同説明会・大規模説明会個別の会社説明+店舗見学を同日に
一次集団面接個別面談(説明会と同日または翌週)
二次現場責任者面接配属候補店舗の管理薬剤師と面談
最終経営者面接経営者面談(合否ではなく口説きと約束の確認の場)
内定後懇親会など複数回国試までは連絡頻度を落とし、合格発表後に再度会う

ポイントは、見学と面談を同じ日にまとめ、学生の移動回数を減らすことです。遠方の学生にはオンラインの併用も検討します。あわせて、合否連絡の期限を会社側から先に宣言しておくと、学生は他社との比較計画を立てやすくなります。「面談から3営業日以内に結果を連絡します」と伝えて、その通りに運用するだけで印象が変わることがあります。

経営者が出る場面の置きどころは社長が会うのは何回目がいいか。経営者面談の置きどころで詳しく扱っています。秋冬は特に、最終面接を「見極めの場」にすると口説く時間がなくなりがちです。

焦って条件を盛らない。ここが分かれ目になる

残り時間が少ないと、「出せる額を上げれば決まるのでは」という発想になりがちです。ただ、秋冬に条件だけで引き寄せた学生は、入社後に同年次の既存社員との差が問題になったり、春に決めた他社との再比較で揺れ戻したりすることがあります。

先に決めておきたい線引きは次の3点です。

  1. 初任給の上限を、既存の若手との関係から先に置く。時期によって変えないことを社内で決めておきます(新卒薬剤師の初任給をどう決めるか。既存社員との関係から考える)
  2. その場で口約束しない範囲を決める。配属店舗、勤務時間、業務範囲は、確約できるものとできないものを事前に整理しておきます
  3. 出せるのは金額以外の材料だと考える。配属の見通し、1年目に任せる業務、国家試験前の扱い、指導役の有無など、中小のほうが具体的に答えられる項目があります

条件以外で選ばれる理由をどう言語化するかは、中小薬局が大手チェーンとの採用競争で勝てる場所はどこかにまとめています。

今年決まらなくても、来年の原資にはなる

秋冬に動いた結果、採用に至らないこともあります。それでも、キャリアセンターに顔を出した事実、後期ガイダンスで配った資料、面談した学生のフィードバックは、翌年の春に効いてきます。むしろ、翌年度の求人票受付や学内説明会の申し込みはこの時期から準備するものなので、今年の出遅れをそのまま来年の前倒しに変えるのが現実的な考え方です。

やったこと・反応・次に変える点を1枚に残しておくと、来年の立ち上がりが変わります。記録の残し方は今年の採用を振り返る。来年のために残しておく記録を参考にしてください。


秋冬からの新卒採用は、母集団を広く集める戦い方ではなく、残っている少数の学生に確実に届かせる戦い方になります。どの学校に追加で当たるか、選考を何回に絞るか、条件の上限をどこに置くか——判断する項目はそれほど多くありません。

Talencoでは、採用戦略の設計から説明会・選考・内定フォロー・初期定着までを伴走で支援しています。実務はご自身で進める伴走コンサルティングと、実務まで一貫してお引き受けするフルサポートの2つのプランをご用意しています(費用は人数・期間・体制により異なるため個別のお見積りです)。今年の残り期間で何ができるかを整理したい方は、無料相談(約30分〜・オンライン)で採用設計をご一緒します。

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