薬剤師・薬学人材の採用(新卒・中途)を、戦略設計から学校開拓・選考・定着まで伴走支援します(全国対応・オンライン基本)

ご相談・お見積り 無料/オンライン対応

無料で相談する
内定フォロー・定着

中途薬剤師に高く出すと、既存社員が辞める。給与の内部公平性をどう保つか

欠員が続く店舗を埋めたい一心で、紹介会社から提示された相場に合わせて条件を出す。無事に入社してくれた数ヶ月後、既存の薬剤師から「あの人、自分より高いんですよね」と切り出される。あるいは何も言われないまま、退職の申し出だけが先に来る。中途採用を続けている薬局・ドラッグストアでは、珍しい話ではありません。

外部相場は動きますが、既存社員の給与は入社時の水準と自社の昇給ペースで積み上がっています。この二つは別の理屈で決まっているため、放っておけばどこかで交差します。問題は逆転が起きること自体よりも、起きたときに説明できる材料を持っていないことのほうにあります。この記事では、求人票の提示レンジを決める前にやっておく可視化の手順と、逆転が避けられない場合の扱い方を整理します。具体的な金額水準は扱いません。

なぜ、採用のたびに逆転が起きるのか

理由は単純で、中途の提示額は市場を見て決め、既存社員の給与は過去の自社基準で決まっているからです。採用難が続く職種ほど外部相場の上がり方が速く、社内の昇給ペースがそれに追いつかない。結果として、同じ経験年数・同じ役割でも、入社した年によって水準が変わります。

もう一つ、提示の場面が属人的になっていることも影響します。面接官や交渉担当が「この人は逃したくない」と判断して、その場で上乗せを決める。記録が残らないまま次の採用でも同じことが起き、数年でテーブルが説明不能になります。条件提示の場そのものをどう設計するかは薬剤師への条件提示で失敗しない。オファー面談で決めておくことで扱っていますが、その前提として、社内の並びを先に把握しておく必要があります。

求人票のレンジを決める前に、在籍者を並べる

やることは、在籍している薬剤師を一枚の表に並べ直すだけです。人事制度をつくる話ではなく、現状を見える形にする作業です。

列入れる内容見るポイント
資格取得からの年数免許取得年を起点にした年数入社年次ではなく経験年数で揃える
役割管理薬剤師/一般/在宅主担当など手当の有無と対応しているか
基本給月額の基本給のみ手当を混ぜると比較できなくなる
手当の内訳役職・住宅・在宅・当番など項目別何に対して払っているかを言葉にする
直近の昇給額過去1〜2年の実績年数が増えると差が縮むのか開くのか
勤務条件常勤/時短/転居可否など同一年数でも条件差があるか

この表を経験年数の順に並べると、たいてい二つのことが見えます。一つは、同じ年数でも幅が広い層があること。もう一つは、一定の年数以降で昇給がほぼ止まり、若手と差がつかなくなっていることです。前者は過去の個別交渉の積み重ね、後者は等級や役割の階段が用意されていないことが原因のことが多いです。

並べたうえで、求人票に載せるレンジの上限を決めます。判断材料は「この上限で採った人が、既存の誰と並ぶか」です。上限で採用した場合に同年数の在籍者を超えるなら、それは採用の意思決定ではなく、社内の給与見直しを伴う意思決定になります。求人票を書き直す順番そのものは薬剤師の求人票に応募が来ない。原稿を書き直す順番に整理していますが、レンジの決定だけは原稿作業の前に済ませておくほうが安全です。

逆転が避けられないときの三つの扱い

市場が動いている以上、逆転をゼロにはできません。避けるのではなく、起きたときの扱いを先に決めておきます。

扱い方内容向く場面注意点
既存側を同時に見直す新しい提示水準に合わせて該当層の給与を改定する同年数の在籍者が数名にとどまる場合原資の確保が前提。一部だけ直すと新たな不公平が生まれやすい
手当で差の理由をつくる管理薬剤師手当、在宅手当、転居可手当など役割に紐づける中途に特定の役割を期待している場合役割が変わったら手当も外れる運用にしておく
差を残し、説明を用意する入社時点の市場条件による差と位置づけ、昇給で追いつく道筋を示す短期的に原資が出せない場合「そのうち直す」で終わると不信が残る。時期を切る

三つ目を選ぶ場合、既存社員に伝えるのは「あなたが低い」ではなく「入社した年の外部相場が違った」という事実です。そのうえで、次回の昇給や等級の見直しでどこまで近づくのかを、時期つきで示せる状態にしておきます。

手当で差を説明する場合は、手当の名称と支給条件を先に文書化してください。「なんとなく中途の人に付けている手当」は、既存社員から見ると理由のない上乗せに見えます。逆に、管理薬剤師の職責に対する手当であれば、なぜその人に付いているかを誰でも説明できます。管理職の階段そのものが見えていない会社では、管理薬剤師の後任を、辞めると言われる前に用意するで触れた役割の言語化を先に済ませるほうが順序として自然です。

給与情報は漏れる前提で設計する

薬剤師の世界は狭く、同じ大学の同期、前職の同僚、紹介会社の担当者など、外部の接点が多くあります。給与の話は完全には封じられないと考えたほうが現実的です。

だからといって全社に金額を開示する必要はありません。決めるべきは開示の範囲です。

  • 個々人の金額は開示しない
  • 等級や役割ごとの水準の考え方(何が上がる要素か)は説明できるようにする
  • 手当の名称と支給条件は全員が見られる場所に置く
  • 昇給を決めるタイミングと評価の観点は入社時に伝える

金額そのものではなく「決め方」を開示する、という線引きです。この線引きがあると、社員が外部で相場を知ったときにも、自社の水準がどういう理屈で決まっているかを本人が説明できます。何も説明されていない状態で外部情報だけが入ると、そこで初めて不公平感が生まれます。

退職の申し出が出てから慌てて調整すると、残った社員には「言えば上がる」という学習が残ります。すでに退職者が出ている場合は、辞めた薬剤師の退職理由から、採用要件を書き換えるの手順で、給与以外の要因も含めて退職理由を並べ直すと、見直すべき箇所が絞れます。

中途採用を始める前にやっておくこと

まとめると、順番は次のようになります。

  1. 在籍する薬剤師を経験年数と役割で並べ、自社のテーブルを可視化する
  2. そのうえで求人票の提示レンジ上限を決める(上限で採ると誰と並ぶかを確認する)
  3. 逆転が避けられない場合の扱いを、採用を始める前に三択から選んでおく
  4. 手当の名称と支給条件、昇給の決め方を文書にする
  5. 開示する範囲(金額ではなく決め方)を決める

一人採るたびに個別判断を重ねるより、最初に一度並べてしまうほうが結果的に手間は少なくて済みます。定着の観点でも、入社後の処遇に説明がつく状態は効きます。入社直後の受け入れ設計は入社3ヶ月で辞められる薬局。最初の90日にやることを決めておくにまとめています。

給与テーブルの整理は、採用と人事制度の両方にまたがるため、社内だけで進めると手が止まりやすい領域です。Talencoでは、募集の設計から条件提示、入社後の初期定着までを一続きのものとして支援しています。実務は自社で持ちながら設計と進行管理を任せる形から、実務まで一貫してお任せいただく形まで、支援プランをご用意しています。

まずは現状の並びと、これから出す提示レンジのすり合わせから。無料相談(約30分〜・オンライン)で、採用設計をご一緒します。

無料で相談する 相談・見積り 0円/オンライン対応 支援内容 2つのプラン