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派遣薬剤師をいつまで使うか。直接雇用への切り替えを設計する

産休の代替として半年だけ入れたはずの派遣薬剤師が、契約更新を重ねて二年目に入っている。出店直後の混乱を凌ぐために入れた一人が、いつのまにか店舗の基幹要員になっている。こうした状態は、薬局・ドラッグストアではよく起こります。日々の店舗は回っているため、問題として顕在化しにくいのが厄介なところです。

派遣が悪いわけではありません。むしろ、薬剤師が数ヶ月では採れない前提に立つなら、派遣は現実的な手段です。問題は「いつまで使うか」を決めずに使い始めることにあります。この記事では、派遣を「人を埋める手段」ではなく「時間を買う手段」と位置づけ直し、期間の上限を先に切る運用と、直接雇用への切り替えを打診する流れを整理します。

派遣は「人」ではなく「時間」を買っている

派遣を入れる目的を言葉にすると、たいてい「いま足りない人手を埋める」になります。ここを「採用が決まるまでの時間を買う」と置き換えると、判断が変わります。時間を買っているのであれば、その時間で何を進めるのかがセットになるはずです。

実際には、派遣が入った時点で採用活動の優先度が下がるケースが少なくありません。店舗が回っているので、求人票の見直しも、紹介会社への情報提供も、面接日程の詰まりも、後回しにできてしまう。派遣は採用の代わりではなく、採用を進めるための猶予期間として扱うと考えると、猶予のあいだに何を終わらせるかを決めておく必要があります。

欠員が出てから採用が決まるまでの数ヶ月をどう凌ぐかは、薬剤師が採れるまでの間、店舗をどう回すか。欠員時の優先順位で整理しています。本記事は、その「凌ぎ方」を選んだあとの出口設計にあたります。

頼るべき場面と、頼り続けると起きること

派遣が有効な場面は、終わりの見えている欠員です。逆に、終わりが定義できない欠員に派遣を当てると、常態化しやすくなります。

場面派遣の使い方想定しておく出口
産休・育休の代替復帰予定までの期間限定復帰時期の再確認。時短復帰なら一部継続の可否を判断
新規出店の立ち上がり開店直後の処方箋枚数が読めない数ヶ月枚数が安定した時点で必要人数を再計算
繁忙期・応援数週間〜数ヶ月のスポット期間終了で終了。延長は別案件として判断
退職による欠員採用が決まるまでのつなぎ採用の期限を先に切る。切れない場合は体制そのものを見直す

頼り続けた場合に起きることは、主に三つです。

一つ目はコストの固定化です。派遣費用は毎月の固定費として積み上がりますが、給与と違って人件費の議論に上がりにくく、「店舗が回っている経費」として扱われがちです。一人あたりいくらかけているのかを比べる単位に直す考え方は、薬剤師1人を採るのにいくらかけていいか。採用単価の考え方で扱っています。

二つ目は店舗手順の属人化です。長期で入っている派遣スタッフが在庫の癖や在宅の段取りを一番よく知っている状態になると、契約終了が決まった時点で引き継ぎ負荷が一気に出ます。契約は相手の事情でも終わるため、こちらのスケジュールで動けません。

三つ目は、直接雇用の候補者から見た印象です。面接や職場見学で「この店舗は何名体制ですか」と聞かれたとき、派遣の比率が高い店舗は、候補者側に「人が続かない店舗かもしれない」という不安を与えることがあります。条件以外の選ばれる理由をつくる話は薬剤師の中途採用で「条件以外の選ばれる理由」をつくる方法にまとめていますが、体制の説明が曖昧なままだと、その努力が伝わりにくくなります。

期間の上限を、契約を結ぶ前に社内で切る

派遣が常態化する仕組みは単純です。更新の可否を毎回その場で判断していると、店舗が困っている状況では「更新する」以外の結論が出にくい。ですから、判断は契約を結ぶ前に済ませておきます。

決めておく項目は次の四つで足ります。

  • 何のための派遣か(産休代替/出店立ち上げ/欠員つなぎ)
  • 社内で置く上限期間(例:原則6ヶ月、延長は1回まで)
  • 上限に達したときに取る手(直接雇用の打診/パート複数名への切り替え/業務移管/体制縮小)
  • 上限の2ヶ月前に誰が何を判断するか

労働者派遣には、事業所単位・個人単位で受入期間の制限が設けられています。制度の細かい要件や手続きは改正や運用の見直しがあり得るため、抵触日の管理を含め、最新の要領と派遣元の説明を必ず確認してください。ここで言う「社内の上限」は、法令上の期間制限とは別に、自社の判断として先に切っておく期限のことです。

パート・時短を複数名組み合わせて常勤一名分をカバーする選択肢もあります。時間の刻み方で応募数が変わる話はパート薬剤師が集まる募集条件のつくり方。時間の切り方で応募数が変わるを参照してください。

直接雇用への切り替えを打診する

長く入っている派遣スタッフは、店舗の手順を理解し、患者さんの顔も覚えている候補者です。直接雇用に切り替えられれば、立ち上がりの負荷はほぼありません。ただし、進め方を誤ると関係がこじれます。

打診のタイミングとしては、契約更新の直前は避けたほうが無難です。本人が更新の可否を検討している時期に重ねると、派遣元との関係で本人が板挟みになります。契約期間の中盤、次の更新まで2〜3ヶ月ある時期のほうが落ち着いて話せることが多いです。

進め方の枠組みは次のとおりです。

順序やること注意点
1派遣元との契約内容を確認直接雇用に関する取り決め、手数料の扱い、必要な通知の有無を書面で確認する
2社内で提示条件を固める給与・手当・管理薬剤師の可能性・勤務地変更の扱いまで決めてから話す
3本人へ打診「条件を出す前提の相談」として伝える。派遣元に隠して進めない
4条件提示と回答期限派遣の時給換算と直接雇用の年収を比べられる形で示す
5切替日と引き継ぎ派遣契約の終了日と入社日の間を空けない

派遣という働き方を選んでいる方もいます。時間の融通や勤務地の自由度を理由に派遣を続けている場合、直接雇用は魅力になりません。打診が断られること自体は前提として織り込み、断られた場合は上限期間の運用に戻して別の手を打ちます。条件提示そのものの設計は薬剤師への条件提示で失敗しない。オファー面談で決めておくことが参考になります。

なお、派遣元を介さずに本人と個別に話を進めると、トラブルの原因になります。手続きの順序と通知の要否は、必ず派遣元と事前に確認してください。

まとめ:出口を決めてから入れる

派遣の是非を議論する必要はありません。決めるべきは「何のために、いつまで」の二つです。この二つが契約前に決まっていれば、更新のたびに悩む必要がなくなり、買った時間を採用の前進に使えます。逆にここが空欄のまま始めると、派遣費用が固定費になり、採用活動そのものが動かなくなりやすくなります。

派遣の上限をどこに置くか、その期間で採用を間に合わせるには何をいつ動かすのか。人数と体制によって答えは変わります。Talencoでは、採用戦略の設計から選考・初期定着までを伴走する支援と、実務まで一貫して対応する支援の2つの形をご用意しています(支援プラン)。まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で、現在の体制と期限の切り方から採用設計をご一緒します。

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