会社説明会の参加者が集まらないときに見直す3つの設計
日程を押さえ、店舗から人を出し、資料もつくった。それなのに申込みが数名、当日は欠席が出てさらに減る。会社説明会を開いてみたものの、この状態が続くと「うちは知名度がないから仕方ない」という結論に落ち着きがちです。
ただ、集まらない説明会の多くは、内容が悪いのではなく、告知の届け方・開催の形式・案内文の書き方という「設計」の側で止まっています。この3点は、予算を増やさなくても手を入れられる範囲です。この記事では、薬局・ドラッグストアの新卒採用と中途採用の両方を想定して、見直す順番を整理します。
集まらない原因は「魅力がない」ではないことが多い
説明会の集客が伸びないとき、まず疑われるのが待遇や知名度です。しかし説明会の申込み段階で、候補者は職場の中身をほとんど知りません。彼らが見ているのは、案内文に書かれた数行と、開催日時と場所だけです。
つまり、申込みが少ない状態は「うちの職場が選ばれなかった」結果ではなく、そもそも比較の土俵に上がっていない状態であることが多い、ということです。中身の改善に着手する前に、届いているか・参加しやすいか・参加する理由が書かれているかを確認するほうが順番として先になります。
新卒採用そのものの立ち上げ手順は薬局・ドラッグストアが初めて新卒採用を始めるときの進め方で整理しているので、全体の流れが固まっていない場合はそちらを先にご覧ください。
見直し1:告知チャネル — 誰の目に触れているか
自社サイトに開催告知を載せただけ、というケースは少なくありません。自社サイトを見に来る人は、すでに自社を知っている人です。そこだけで告知を完結させると、認知の外にいる層には届きません。
チャネルは新卒と中途で分けて考えます。
| チャネル | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 新卒向け就職情報サイト | 薬学生・登録販売者候補 | 母数は大きいが、大手と並んで比較される |
| 学校のキャリアセンター・研究室 | 薬学生 | 掲載枠や学内説明会の案内は年度単位で締切がある |
| 学内・合同企業説明会 | 新卒全般 | 一度に多数と会えるが、単独説明会への誘導設計が要る |
| 求人媒体・スカウト | 中途の薬剤師・登録販売者 | 個別に日程を案内する形が中心になる |
| 人材紹介会社 | 中途 | 担当者に説明会情報を渡しておくと候補者に共有されやすい |
| 既存スタッフ・OB経由の紹介 | 新卒・中途 | 数は限られるが参加率・志望度が高くなりやすい |
高卒での登録販売者候補の採用を含める場合は、求人が学校とハローワークを経由する前提になり、企業が自由に告知できる範囲が限られます。ルールの全体像は高卒採用の「一人一社制」とは。初めての企業がつまずくルールを整理するを確認してください。
見直すときの問いはシンプルです。「先月の説明会の告知は、いくつのチャネルに載せたか」。答えが1つか2つなら、内容ではなく露出量の問題である可能性が高くなります。
見直し2:開催形式 — 参加のハードルはどこにあるか
薬学生は実務実習や試験があり、在職中の薬剤師はシフトで動いています。平日日中に本社集合という形式だけを続けていると、来たくても来られない人が積み上がります。
| 形式 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 対面(本社・店舗) | 職場の雰囲気を見せたい、志望度を上げたい | 移動時間と交通費が参加の壁になる |
| オンライン | 遠方の学生、在職中の薬剤師、初期接点 | 温度が伝わりにくく、離脱も起きやすい |
| ハイブリッド(同時配信) | 母集団を広げつつ現場も見せたい | 運営に人手がいる。両者への目配りが必要 |
| 個別・少人数開催 | 中途、志望度の高い学生 | 回数は増えるが、対話量は圧倒的に増える |
実務的には、入口はオンラインで広く取り、次の接点で店舗見学に来てもらう二段構えが扱いやすい形です。一回の説明会ですべてを伝えきろうとせず、「知ってもらう回」と「見てもらう回」を分けると、それぞれの設計がはっきりします。
中途の場合は、大人数の説明会より個別面談の形を取ったほうが動きやすいことが多く、日程も候補者の休日・勤務終了後に合わせる前提で組みます。
見直し3:案内文 — 参加する理由が書かれているか
案内文が「会社概要・事業内容・募集職種・質疑応答」という項目の羅列で終わっているなら、ここが最も改善余地の大きい箇所です。この文面からは、参加者が何を持ち帰れるのかが読み取れません。
案内文に入れておきたい要素は次の4つです。
- 誰に向けた回か(薬学部の学年、登録販売者候補、在職中の薬剤師など)
- その日に分かること(配属の考え方、1日の流れ、教育体制、在宅対応の有無など、具体名詞で)
- 誰が話すのか(人事担当だけでなく、現場の管理薬剤師や入社数年目のスタッフ)
- 所要時間と、その後の流れ(応募が必須かどうかを明記する)
特に4つ目は効きます。「参加=選考に進むこと」だと受け取られると、迷っている層は申込みを止めます。情報収集段階でも参加してよいと書いてあるかどうかで、申込みのハードルは変わります。
また、薬剤師と登録販売者では響く言葉が違うため、同じ案内文を流用しないことも重要です。この違いは薬剤師と登録販売者、新卒採用の進め方はどう違うかで整理しています。
説明会は「選考の入口」ではなく「口説きの場」
3つの設計を見直すうえで、前提として置き換えておきたい考え方があります。説明会を、候補者を絞り込むための選考の入口ではなく、来てくれた人を口説くための場と捉えることです。
選考の入口だと考えると、進行は会社側の説明が中心になり、候補者は聞くだけの時間になります。口説きの場だと考えると、設計は変わります。話す時間より聞く時間を増やし、現場のスタッフに登場してもらい、質疑では答えにくい質問(残業、休日、配属、教育)にも先回りして答える。給与や知名度で大手と並べられる前提に立つと、この「条件以外で語れることを、人の口から伝える」設計が効いてきます。中途採用で条件以外の理由をどう言語化するかは、薬剤師の中途採用で「条件以外の選ばれる理由」をつくる方法で扱っています。
説明会が口説きの場になっていると、参加者の志望度が上がった状態で選考に進むため、その後の辞退も起きにくくなります。
見直しの順番と、確認しておく記録
一度にすべてを変えると、何が効いたのか分からなくなります。順番としては、露出量(チャネル)→ 参加しやすさ(形式)→ 伝え方(案内文)の順に手を入れると、原因の切り分けがしやすくなります。
そのうえで、開催ごとに次の数字だけは記録しておくことをおすすめします。
- チャネル別の申込み数
- 申込み数に対する当日参加数(欠席がどこで発生しているか)
- 参加者のうち、次の選考に進んだ数
この3つが並ぶと、「告知が足りない」のか「日程が合っていない」のか「説明会の中身が刺さっていない」のかが見えてきます。記録がないまま回数だけ重ねると、毎回ゼロから考え直すことになります。
説明会の設計から、一緒に組み立て直す
説明会は単体の施策ではなく、母集団形成から選考、内定フォロー、入社後の定着までつながる一本の流れの一部です。集客だけを改善しても、その先の設計が抜けていれば辞退で戻ってきます(内定後の流れは新卒の内定辞退を防ぐ。内定から入社までのフォロー設計で整理しています)。
Talencoは、薬剤師・薬学人材の採用について、ターゲット設定と年間スケジュールの設計から、説明会の企画・運営、選考、内定フォロー、初期定着までを伴走して支援しています。設計と実行管理をお任せいただき実務は貴社で進める「伴走コンサルティング」と、実務まで一貫してお引き受けする「フルサポート」の2つの形があります。人材紹介会社からのご紹介を含め、いま使っているチャネル全体の歩留まりを上げる立場でご一緒します。
進め方の詳細は支援プランをご覧ください。まずは現状のご相談からで構いません。無料相談(約30分〜・オンライン)で、次の説明会の設計をご一緒します。