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進め方・スケジュール

新規開局に合わせて薬剤師を採る。開局日から逆算するスケジュール

新規開局の話は、たいてい「門前の先生が来春に開業する」という一報から始まります。物件も内装も進むのに、採用だけが後ろに回りやすい。そして開局の2ヶ月前になって「管理薬剤師をどうするか決まっていない」と気づく、という流れをよく聞きます。

やっかいなのは、開局日そのものが動くことです。医療機関側の建築スケジュール、行政手続き、先生の前職の退職時期——いずれも薬局側ではコントロールできません。だからこそ、日付が固まるのを待ってから採用を始めるのではなく、動く前提で逆算し、動いたときの対応を先に決めておくという組み方が要ります。

最優先は管理薬剤師。理由は3つある

新規開局の採用で最初に埋めるべきは、スタッフ薬剤師ではなく管理薬剤師です。理由は3つあります。

ひとつめは、法令上の要件だからです。薬局には管理薬剤師を置くことが求められ、開設許可や保険薬局の指定申請に関わる書類でも人員の情報が必要になることが一般的です。申請の締切や様式、提出先の窓口は地域と年度によって異なるため、管轄の保健所・地方厚生局の最新の案内を必ず確認してください。人が決まっていないと、手続きそのものが前に進まない場面があります。

ふたつめは、開局準備の実務を担う人だからです。医薬品の初回発注、棚の設計、レセコンや薬歴システムの設定、門前医療機関との処方内容のすり合わせ。これらは開局日の前に終わっている必要があり、現場を知る薬剤師でないと判断できません。

みっつめは、採用に最も時間がかかるポジションだからです。管理薬剤師の要件を満たし、かつ新店の立ち上げを任せられる人材は、求人を出してすぐ出てくるとは限りません。既存店からの異動で埋めるにしても、抜けた店舗の後任を同時に考える必要があります。この論点は管理薬剤師の後任を、辞めると言われる前に用意するでも扱っているので、あわせて読んでみてください。

開局日から逆算する

おおまかな目安として、開局日を起点に次のように置きます。期間は規模や地域の採用難易度によって変わるため、自社の過去の採用にかかった日数で補正してください。

開局日からの時点やること
12〜9ヶ月前開局情報の確定度を確認。必要人数を店舗要件から算出。管理薬剤師を内部異動で出すか外部採用かを決める
9〜6ヶ月前管理薬剤師の募集開始/異動候補への打診。異動なら元の店舗の後任計画も同時に立てる
6〜4ヶ月前スタッフ薬剤師・調剤事務の募集開始。新卒を充てる場合は入社時期と開局日のズレを確認
4〜3ヶ月前管理薬剤師を確定。開局準備業務(発注・システム・門前対応)に着手
3〜2ヶ月前採用した薬剤師を既存店に配属し、慣らし期間を開始。各種申請書類の準備
1ヶ月前新店での開局前研修。動線確認、レジ・システムの操作、想定処方の予行
開局後1〜3ヶ月処方枚数の実績を見ながら人員を再配置

ここで見落とされやすいのが、開局の直前ではなく2〜3ヶ月前から既存店で慣らす期間です。新店にいきなり集めると、互いの仕事の進め方も分からないまま初日を迎えることになります。既存店で数週間でも一緒に働いておくと、開局日の混乱がかなり減ります。中途採用の場合は在職中の応募が大半なので、入社日が後ろ倒しになる可能性も織り込んでおきます(内定承諾後に入社日が延びる。退職交渉の引き止めをどう想定するか)。

開局日が延びたとき、内定者に何を伝えるか

門前の開業が1ヶ月、2ヶ月と後ろにずれることは珍しくありません。このとき困るのは、すでに内定を出した薬剤師の雇用開始日です。

先に決めておきたいのは次の3点です。

ひとつは、雇用開始日を開局日に連動させるのか、固定するのかです。候補者は前職を退職して待っている状態です。「開局が延びたので入社も延期」としてしまうと、無給の空白期間を押しつけることになり、辞退や不信につながります。現実的には、雇用開始日は開局日と切り離して固定し、開局までは既存店で勤務してもらう形が取りやすい選択です。採用時点でこの可能性を伝えておくと、後から説明する負担が減ります。

ふたつめは、勤務地の扱いです。「新店勤務」で合意しているのに既存店での勤務が続くと、条件が違うという話になりかねません。内定通知や労働条件の書面で、開局までの暫定の勤務地と、開局後の配属予定を分けて記載しておきます。

みっつめは、情報の出し方です。開局日が流動的だと分かった時点で、確定を待たずに「現時点では○月を見込んでいるが、医療機関側の事情で前後する可能性がある」と伝えます。悪い見通しを早く出すほうが、直前の変更より信頼を損ないません。

初月の処方枚数は読めない。人員の置き方

新規開局の最大の不確実性は、初月に何枚来るかが分からないことです。門前の医療機関が新規開業であれば患者はゼロから積み上がりますし、移転であればある程度の見込みは立ちます。それでも、想定どおりになるとは限りません。

人員を多めに置けば人件費が先行し、少なく置けば開局直後の印象を悪くします。現実的なのは、常勤で最低限の体制を組み、変動部分をパートや応援シフトで吸収する組み方です。具体的には次のように分けます。

  • 常勤で固めるのは、管理薬剤師と、開局後も確実に必要な人数分
  • 開局1〜2ヶ月目の上振れ分は、既存店からの応援シフト、短時間パート、派遣で対応
  • 3ヶ月目の実績を見て、常勤を追加するか、応援を引き上げるかを判断

判断の期限を先に決めておくことが大事です。「開局3ヶ月後の時点で1日あたり処方枚数が◯枚を超えていたら常勤1名を追加募集」のように数字と時点を置いておくと、ずるずると応援を続けて既存店が疲弊する事態を避けやすくなります。必要人数の算出そのものは出店計画から採用人数を逆算する。ドラッグストアの採用計画のつくり方の考え方が使えます。

既存店から異動させるか、新店に新人を入れるか

新店の人員構成には、大きく2つの作り方があります。

既存店から異動(新人は既存店へ)新店に新規採用者を集める
立ち上がり自社のやり方を知る人が入るため速い手順の共有から始まるため時間がかかる
新人の育成既存店の体制の中で教えられる指導役も新店の業務で手一杯になりやすい
既存店への影響戦力が抜けた穴を新人で埋める負担が出る既存店は維持できる
採用の難易度新人は既存店勤務のため募集しやすいことが多い「新店の立ち上げメンバー」として訴求できる
リスク異動者が離職すると両店に影響開局直後にトラブルが起きたとき判断できる人が少ない

多くの場合、管理薬剤師と中核の1名は既存店からの異動、残りを新規採用という組み合わせが取りやすい形です。ただし異動は本人の通勤や生活に関わるため、打診は内示ではなく相談から入り、断られた場合の代替案も用意しておきます。

新店の立ち上げメンバーという切り口は、中途採用の訴求としては強く働くことがあります。裁量の大きさ、ゼロから作る経験、門前との関係構築といった要素は、大手の求人では出しにくい内容です。一方で、立ち上げの負荷も実際にあります。何がどこまで大変なのかを面接で正直に伝えたうえで合意しておくほうが、入社後の早期離職を避けやすくなります。

開局は、採用のスケジュールを引き直す機会になる

新規開局は、採用が「欠員が出てから動く」形から「予定から逆算して動く」形に切り替わる数少ない機会です。ここで引いたスケジュールは、次の出店でもそのまま使えます。開局のたびに毎回ゼロから考えるのではなく、今回の進め方を記録として残しておくことをおすすめします。

とはいえ、開局準備と並行して採用設計まで手を回すのは、兼務体制の会社にはかなりの負荷です。Talencoでは、開局日から逆算した採用スケジュールの設計、管理薬剤師の確保方針、募集から内定フォロー・初期定着までを伴走してご支援しています。実務は自社で進めたい場合の伴走型と、実務まで一貫して対応するフルサポート型の2つから選べます(支援プラン)。

開局日が決まった段階でも、まだ流動的な段階でも構いません。無料相談(約30分〜・オンライン)で、現在の予定をうかがいながら採用設計をご一緒します。

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