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学校・実習ルート

登録販売者を高卒採用で確保する。一人一社制のルールと進め方

ドラッグストアや店舗を持つ薬局で、登録販売者の確保に苦労している企業は少なくありません。中途で募集しても資格保有者の取り合いになり、条件を上げても大手に流れる。そこで「資格を取る前の人を採用して、社内で育てる」という発想に行き着き、高校新卒に目が向く、という流れです。

ただ、高卒採用は中途採用や大学新卒採用とルールがまったく違います。求人票の様式が決まっていて、公開できる時期も応募を受けられる時期も決まっている。しかも生徒は原則として一度に一社しか応募できません。この記事では、登録販売者候補を高卒で採る場合に押さえておきたい行政・学校のルールと、初年度の進め方を整理します。

なぜ登録販売者は高卒ルートと相性がよいのか

登録販売者の試験は、受験にあたって特定の学歴や学部が求められる仕組みにはなっていません。合格後、店舗で一定期間の実務経験を積むことで、一人で売り場に立ったり管理者要件を満たしたりできるようになる、という段階的な制度になっています(要件の年数や取り扱いは制度改正で変わることがあるため、厚生労働省や都道府県の最新情報を必ず確認してください)。

つまり、高校を卒業してすぐ入社した人でも、働きながら受験し、実務経験を積んでいける職種です。薬剤師のように6年制の大学課程を前提としないため、採用の入口を「資格保有者」から「資格を取る意思がある人」に広げられる点が、高卒ルートの価値になります。

薬剤師と登録販売者では狙う学校もスケジュールも異なります。この違いを混ぜて考えると計画が崩れやすいので、両方を採る予定がある企業は薬剤師と登録販売者、新卒採用の進め方はどう違うかも併せて確認してください。

高卒採用は「自由に募集をかける」ことができない

高卒採用の求人は、企業が自由に求人サイトへ掲載して応募を集める形ではありません。ハローワークで求人票の確認を受けたうえで、高校へ求人を出し、生徒は学校を通じて応募します。応募先は原則として一人一社に限られ、その企業の結果が出るまでは他社を受けられません(解禁時期や複数応募の扱いは都道府県によって運用が異なります)。

このルールの全体像は高卒採用の「一人一社制」とは。初めての企業がつまずくルールを整理するで整理しているため、ここでは登録販売者採用に効いてくる点だけを挙げます。

  • 生徒は一社しか受けられないため、応募の時点で志望度が高い。一方で、企業側は「とりあえず母集団を集める」ことができない
  • 学校の進路指導の先生が実質的な紹介者になる。求人票の内容と、先生への説明が応募数を左右しやすい
  • 内定辞退が起こりにくい仕組みである反面、入社後のミスマッチが表面化すると学校との関係に響く

年間スケジュールの目安

高卒採用は動く時期が決まっています。以下は一般的な流れの目安ですが、解禁日は年度・地域で変わるため、その年の実施要領を必ず確認してください。

時期の目安企業がやること
春(4〜5月頃)採用人数と配属店舗を決める。求人票の内容を固める
初夏(6月頃)ハローワークへ求人申込。求人票の確認を受ける
夏(7月頃〜)高校への求人票送付・学校訪問。職場見学の受け入れ準備
夏休み期間職場見学の実施。生徒と保護者への説明
秋(9月頃〜)応募書類の受付、選考、内定
秋〜翌春内定者フォロー、入社準備、資格取得の学習支援の案内

ポイントは、求人票を作る時期には配属先と労働条件がほぼ確定していないといけないことです。出店計画や人員配置が固まらないまま6月を迎えると、そもそも求人が出せません。

求人票で先に決めておくこと

高卒求人票は指定様式で、記載した条件がそのまま学校との約束になります。あとから「実は転勤があります」といった説明はできません。登録販売者候補の採用では、次の項目を早めに固めておくと進みやすくなります。

項目決めておく内容
職種名「販売スタッフ(登録販売者候補)」など、資格取得を前提とした表現にするか
配属具体的な店舗名・エリア。異動や転勤の範囲
勤務時間早番・遅番の実態、シフトの組み方
深夜勤務18歳未満は深夜業などに法令上の制限があるため、入社直後のシフトをどう組むか
資格取得支援受験費用の負担、教材、学習時間の確保、合格後の手当
育成の流れ入社1年目にどこまでできるようになるかの見通し

とくに深夜勤務と休日の扱いは、18歳未満の従業員に関する法令上の制限があるため、労働基準監督署やハローワークに確認したうえで求人票に落とし込んでください。24時間営業や深夜帯のある店舗では、入社直後の配属設計そのものを見直す必要が出る場合があります。

資格取得支援の記載は、高校生と保護者、そして進路指導の先生が最も注目する部分のひとつです。「支援あり」とだけ書くのではなく、費用のどこまでを会社が負担し、勉強時間をどう確保するのかを具体的に書いたほうが、学校側も生徒に勧めやすくなります。

職場見学が、実質的な相互理解の場になる

高卒採用では、選考前に職場見学を実施することが一般的です。生徒はここで見た印象をもとに応募先を一社に決めます。ドラッグストアの場合、売り場の雰囲気、先輩社員の年齢層、実際の接客の様子がそのまま判断材料になります。

見学で伝えておきたいのは、良い面だけではありません。立ち仕事であること、シフト制であること、覚える商品知識が多いことを先に伝えたほうが、入社後のギャップが小さくなりやすいです。一人一社制のもとでは辞退が起きにくいぶん、ミスマッチは入社後に表れます。

内定後から入社までを空白にしない

9月〜10月に内定が出ると、入社まで半年ほど空きます。この期間に何も接点がないと、生徒の側では会社の記憶が薄れ、保護者の側では不安が残ります。登録販売者候補の場合、この期間に試験の概要や学習の進め方を案内しておくと、入社後の立ち上がりが変わってきます。

内定から入社までの設計は大学新卒と共通する部分も多いため、新卒の内定辞退を防ぐ。内定から入社までのフォロー設計も参考にしてください。高卒の場合は、連絡が学校経由になるケースがある点に注意が必要です。

初年度は「採れる人数」より「関係をつくる」

高卒採用は、初年度から多くの応募が集まることのほうが少ないルートです。学校側も初めて求人票を受け取る企業を、すぐ生徒に強く勧めるとは限りません。求人票を出し、学校を訪問し、職場見学を受け入れ、入社した生徒がきちんと育つ。この一巡を見せることで、翌年以降の推薦につながっていきます。

中途採用や紹介会社経由の採用と違い、成果が出るまでに時間がかかる代わりに、続けるほど安定しやすいのが高卒ルートの性質です。中途採用と並行して走らせ、「今すぐ埋める枠」と「3年後の店舗を支える人」を分けて考えると、無理のない計画になります。新卒採用そのものが初めてという場合は、薬局・ドラッグストアが初めて新卒採用を始めるときの進め方から順に確認してください。


高卒採用は、ルールを外すと求人票が受理されなかったり、学校との関係を損ねたりします。逆に、スケジュールと条件設計さえ整えば、資格保有者の取り合いとは別の入口を持てるルートです。

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