地方の薬科大学と都市部の大学、どちらを開拓するか。学校リストの優先順位
薬科大学・薬学部は全国に分布していて、名前を並べるだけなら候補はいくらでも出てきます。ところが実際に動ける人は採用担当(多くは兼務)が一人か二人で、店舗運営の合間に訪問時間をつくることになる。結果として「近いところだけ回った」「去年行ったところにまた行った」という消極的な選び方になり、なぜその大学なのかを説明できないまま数年が過ぎる、という状態は珍しくありません。
学校開拓で最初に決めるべきは、どの大学が良いかではなく、年間で何校まで面倒を見られるかです。上限を先に置いてから、その枠に入れる大学を選ぶ。この順番にすると、地方校と都市部校のどちらを取るかという問いも、感覚ではなく条件で答えられるようになります。学校との接点がまだ一つもない段階の進め方は薬科大学・専門学校との接点がない会社が、最初にやることにまとめているので、そちらを前提として進めます。
候補校を並べる4つの軸
すべての大学を同じ熱量で追うことはできません。以下の4つを、候補校ごとに埋めていきます。点数化まではしなくても、○△×の三段階で十分に差がつきます。
| 軸 | 見るポイント | 情報の集め方 |
|---|---|---|
| 店舗からの距離 | 日帰りで訪問できるか。学生が通勤圏として想像できるか | 自社の主要エリアからの所要時間を実測 |
| 出身地・就職地の傾向 | 地元出身者が多いか、全国から集まっているか | 大学の公開情報、キャリアセンターへの質問 |
| 既存社員の出身校 | 自社に同窓の社員がいるか | 社員名簿・入社時の履歴情報 |
| キャリアセンターの対応 | 企業の受け入れ姿勢、求人の扱われ方 | 電話・訪問時の応対、学内説明会の枠の有無 |
距離は「訪問コスト」と「学生の通勤イメージ」の両方に効く
距離が効くのは自社の移動負担だけではありません。学生側にとっても、大学の近くに店舗があるかどうかは志望のしやすさに直結します。実務実習やアルバイトで土地勘のあるエリアなら、入社後の生活が想像しやすい。逆に、大学から遠い勤務地は「引っ越し前提の選択肢」になり、比較の土俵に乗る前に外されることがあります。
出身地の傾向は、地方校を判断する決め手になる
地方の薬科大学には、その地域や近県の出身者が一定割合いる大学と、全国から集まってくる大学があります。前者であれば、卒業後に地元へ戻る学生と接点を持てる可能性が高くなります。ここは推測で決めず、キャリアセンターに「学生の出身地はどのあたりが多いか」「県内就職の割合は増えているか」と直接聞くのが早いです。担当者は毎年の傾向を持っているので、率直に尋ねれば答えてもらえることが多くあります。
既存社員の出身校は、最も低コストな入口
自社にその大学の卒業生がいる場合、研究室やゼミのつながり、後輩への声かけ、学内での口コミといった接点が生まれます。訪問の際に「弊社には御校の卒業生が在籍しています」と言えるだけで、キャリアセンターの反応は変わります。社員名簿から出身校を拾い直すだけの作業なので、まず着手する価値があります。
キャリアセンターの対応の手厚さは、大学ごとに差がある
求人票を送っても学生に届く仕組みが弱い大学もあれば、学内説明会の枠を丁寧に案内してくれる大学もあります。一度連絡して感触を確かめ、反応が薄い大学に何度も通うより、受け入れの良い大学に資源を集中させたほうが結果につながりやすくなります。渡す資料の作り方は大学キャリアセンターに渡す資料を作る。求人票と別に必要なものを参照してください。
年間訪問可能校数から逆算する
ここが実務上の分かれ目です。遠方の大学に年1回だけ訪問しても、担当者の記憶には残りにくく、学生への案内にもつながりません。学校ルートは、年2〜3回の接点を数年続けてようやく動き始めることが多いものです。したがって、「年3回訪問できる校数」がそのまま開拓できる上限になります。
仮に、採用担当が学校まわりに使える時間を月2日、年間24日と置いてみます。移動を含めた1日あたりの訪問可能校数を、近距離なら2校、遠方なら1校とすると、大まかな枠は次のようになります。
| 配分の考え方 | 訪問延べ回数 | 年3回接点を持てる校数 |
|---|---|---|
| 近距離校のみ(1日2校) | 約48回 | 約16校 |
| 近距離と遠方を半々 | 約36回 | 約12校 |
| 遠方中心(1日1校) | 約24回 | 約8校 |
これは仮の試算で、実際の稼働可能日数や移動時間は会社ごとに違います。ただ、どう置いても「10校前後が上限」という規模感は変わりません。候補校が30校並んだなら、そのうち20校は今年は手をつけない、と決めることになります。
遠方の大学を1校入れるコストは、近距離の大学2校分に相当します。それでも入れる価値があるのは、出身地の傾向が自社エリアと重なっている場合や、既存社員の出身校で紹介の足がかりがある場合です。理由なく「有名だから」「学生数が多いから」で遠方校を入れると、訪問が単発で終わります。
リストは3層に分けて毎年入れ替える
絞り込んだ後は、次の3層に分けて管理すると運用しやすくなります。
- 重点校(3〜5校):年3回以上訪問し、学内説明会や実習受け入れまで狙う
- 維持校(5〜8校):年1回の訪問と求人票送付で関係を切らさない
- 候補校:資料送付のみ。反応があれば翌年に維持校へ引き上げる
毎年、実際にエントリーがあったか、キャリアセンターから連絡が来たかを記録し、2年続けて反応がない大学は維持校から候補校へ戻します。この入れ替えをしないと、リストが増える一方で訪問が薄くなります。
訪問の時期は学事に左右されます。実務実習や卒業試験、国家試験の期間は学生も教職員も動きにくいため、年間計画を引く際は薬学生の新卒採用スケジュール。6年制の学事と採用活動の重ね方を合わせて確認してください。なお学年暦や実習期間は年度により変わるため、各大学の最新の案内を必ず確認してください。
どちらか一方を選ぶ話ではない
地方校と都市部校は、担う役割が違います。地方校は地元定着志向の学生に届きやすく、都市部の大学は母数が大きい代わりに競合企業も多い。自社の店舗が地方・郊外に集中しているなら、地方校を重点校に、都市部校を維持校に置く配分が現実的です。逆に都市部で複数店舗を持つなら、通学圏の大学を重点に据えたうえで、Uターン就職を狙って出身県の地方校を1〜2校加える形が組みやすくなります。商圏外から人を呼ぶかどうかの判断軸は地方・郊外店舗の薬剤師採用。商圏の外から呼ぶか、中で探すかでも整理しています。
学校リストは、一度つくって終わりではなく、訪問記録と採用実績を見ながら毎年組み替えていくものです。どの大学を重点に置くか、年間何回の接点を設計するか、誰が訪問するか——ここまで決めて初めて、学校ルートは採用チャネルとして機能し始めます。
自社の店舗配置と採用計画から候補校を並べ直すところは、外から見たほうが判断が早い部分でもあります。Talencoでは採用戦略の設計から学校まわりの年間計画、説明会・選考・内定フォローまでを伴走で支援しています。支援プランをご覧いただき、まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で採用設計をご一緒させてください。