地方の会社が新卒の薬学生を採用する方法。1〜2名を採るための3つのルート
地方の薬局や病院、メーカーが新卒の薬学生を採ろうとするとき、最初にぶつかるのは「そもそも近くに薬学部があるのか」という問題です。あるなら学校開拓の話になり、ないなら別の考え方が必要になります。
この記事は、地方で1〜2名の採用を目指す会社向けに、新卒の薬学生に届くルートを3つに分けて整理します。都道府県ごとの事情は、このシリーズの各地域の記事で個別に扱います。
大量に集める必要はない
全国から100人を集めて、その中から選ぶという設計は、1〜2名の採用には合いません。必要なのは、自社で働くことを現実的に考えてくれる数人に、確実に出会うことです。
だから設計の軸は「母集団を増やす」ではなく、「どこにいる誰なら来てくれる可能性があるか」を先に絞ることになります。地方の会社が絞りやすい層は、大きく3つあります。
ルート1:地元の薬学部から採る
商圏内、または通勤圏内に薬学部がある場合の最も基本的なルートです。キャリアセンター、研究室、実務実習の3つが接点になります。
薬学部のある大学は全国で限られており、都道府県によっては1校しかない、あるいは1校もないところがあります。1校しかない地域では、その大学との関係が採用の生命線になります。担当者が変わっても関係が切れないよう、訪問履歴と先方の窓口を記録に残しておくことが前提です。
実務実習の受け入れが可能な場合は、学生と自然に接点を持てる数少ない機会です。ただし実習は教育の場であり、選考の場ではありません。実習の受け入れを採用につなげる考え方は薬局の実務実習受け入れは、新卒採用にどうつながるかで整理しています。
ルート2:県外の大学に出向く
地元に薬学部がない、あるいは1校だけで採用できる母数が足りない場合は、県外の大学を狙います。ここで大事なのは、全国の大学に手を広げないことです。
見るべきは、自社の地域出身の学生が、どの大学に進学しているかです。地元の高校の進路実績を数年分並べると、「この県からはこの大学へ進む」という経路が見えることがあります。経路が見えれば、訪問する大学は数校に絞れます。大学の選び方は地方の薬科大学と都市部の大学、どちらを開拓するか。学校リストの優先順位も参考になります。
ルート3:出身者を呼び戻す
地元の出身で、県外の大学に通っている学生に、Uターンを働きかけるルートです。帰省の時期に見学の枠を用意する、地元の高校や自治体の窓口と関係をつくる、といった接点が中心になります。
このルートは即効性がありません。ある年の夏に一人と会って終わりではなく、数年かけて「地元に戻るなら、あの会社がある」という認知を積み上げる性質のものです。具体的な進め方は地元に帰りたい薬学生を採る。Uターン希望者に届く接点にまとめています。
どのルートから着手するか
3つを同時に始める体力は、1〜2名の採用をする会社にはあまりありません。次の順で考えると迷いが少なくなります。
| 状況 | 最初に着手するルート |
|---|---|
| 商圏内に薬学部がある | ルート1(地元の大学)を軸にし、余力でルート3を足す |
| 隣県に薬学部がある | ルート2で隣県の大学を1〜2校に絞る |
| 通える範囲に薬学部がない | ルート3(出身者)を軸に、進学経路の見えた大学へルート2で出向く |
この表はあくまで着手の順番の目安です。自社の店舗や施設の場所、採用したい人数と時期によって最適な組み合わせは変わります。
条件では勝てない前提で設計する
地方の小規模な会社は、給与や規模の面で大手チェーンと比べられたとき、条件だけでは不利になりがちです。だからこそ、次の点を具体的に見せる必要があります。
- 地域で担う役割(在宅、地域連携、かかりつけなど、任せてもらえる業務)
- 1年目・3年目に何を任され、どこまで到達できるか
- 働き方の実態(残業、休日、シフトの組み方)
「地元で働きたい」という動機を持つ学生は一定数います。その学生に「ここなら長く働ける」と思ってもらえるかどうかは、条件表よりも、日々の働き方が具体的に見えるかで決まります。
地方の新卒採用は、母集団の大きさで勝負できない分、誰に・どこで・どの順番で接点を持つかの設計が結果を左右します。
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