人材紹介会社に薬剤師の求人を出すとき、最初に何を伝えるか
人材紹介会社に薬剤師の求人を依頼するとき、多くの会社が渡しているのは求人票と同じ内容です。勤務地、給与レンジ、勤務時間、必要な経験。それだけを送って「良い方がいたらお願いします」と伝え、あとは紹介を待つ。この状態でも紹介は来ますが、来た候補者を見て「ちょっと違う」と感じることが続きやすくなります。
紹介会社は競合ではなく、席を埋めるためのパートナーです。そして紹介会社のコンサルタントは、候補者に対して「この会社を勧める理由」を自分の言葉で語らなければなりません。求人票に書ける条件しか渡していなければ、語れるのも条件だけになります。最初のオリエン(依頼時の説明の場)で何をどこまで共有するかが、その後の紹介の量と精度を左右します。
コンサルタントは「条件」ではなく「勧める理由」を必要としている
紹介会社のコンサルタントは、同時に何十件もの求人を抱えていることが一般的です。候補者と面談したとき、頭の中の求人リストから瞬時に「この人にはこの会社」と引き出せるかどうかで、紹介されるかどうかが決まります。
このとき思い出されやすいのは、条件が良い求人だけではありません。「どんな人なら合うか」が具体的にイメージできる求人です。年収の上限が近い会社が並んでいるとき、片方は条件だけ、もう片方は「在宅を伸ばしたい店舗で、経験は浅くてもいいから前向きに学べる人」とわかっている。後者のほうが、面談の会話の中で自然に出てきます。
紹介が来るのに決まらないという段階の話は紹介会社から候補者は来るのに決まらない。原因は企業側にありますで整理しています。この記事はその手前、依頼の入口の話です。
最初のオリエンで伝える7項目
初回の打ち合わせ、あるいは依頼書に盛り込みたい項目を整理します。所要は30分〜1時間程度を見込んでおくと、ひととおり話せることが多いです。
| 項目 | 伝える内容 | 伝えないとどうなるか |
|---|---|---|
| 採用背景 | 欠員補充か増員か。誰が抜けた/どの店舗を強化するのか | 緊急度が伝わらず、後回しにされやすい |
| 配属店舗の実情 | 処方箋枚数の目安、主な処方元、在宅の有無、スタッフ構成と年齢層 | 入社後のギャップで早期離職につながる |
| 一日の流れ | 開局から閉局までの動き、繁忙時間帯、残業の実態 | 候補者の「実際どうなんですか」に答えられない |
| 譲れない条件 | 資格、経験年数、勤務可能日など絶対要件 | 要件外の紹介が増え、双方の工数が無駄になる |
| 妥協できる点 | ブランク可、時短相談可、管理薬剤師経験なしでも可など | 候補者の母数が不必要に狭まる |
| 過去に見送った理由 | 直近で不採用・見送りにした方の傾向と理由 | 同じタイプの紹介が繰り返される |
| 選考プロセスと期間 | 面接回数、面接官、応募から内定までの目安日数 | 候補者への説明が曖昧になり、辞退が増える |
このうち後半の3つは、求人票には書けない情報です。だからこそ、口頭でも文面でも構わないので必ず共有してください。
「妥協できる点」を言葉にしておく
譲れない条件を挙げるのは比較的簡単ですが、妥協できる点は社内でも整理されていないことが多い項目です。ブランクがある方はどうか、扶養内希望はどうか、通勤1時間は許容範囲か。事前に決めておかないと、紹介が来るたびに社内で判断が揺れ、返答が遅れます。
判断材料が足りないと感じる場合は、ブランクのある薬剤師を採用する。受け入れ側が決めておくことやパート薬剤師が集まる募集条件のつくり方。時間の切り方で応募数が変わるを先に読んでから、条件の幅を決めるとまとまりやすくなります。
「見送った理由」の伝え方には配慮する
過去に見送った方の情報を共有するときは、個人が特定される表現を避け、傾向として伝えます。「Aさんは態度が悪かった」ではなく「在宅同行の可否を確認したところ難しいとのことで、今回の枠とは合わなかった」といった、判断軸がわかる書き方にします。これが積み重なると、コンサルタントの側で自然にスクリーニングが効くようになります。
複数社に同時依頼するときの情報の揃え方
複数の紹介会社に依頼する会社は多いですが、社ごとに伝える内容がずれると問題が起きます。同じ候補者が別の会社経由で条件違いの説明を受ける、更新した情報が一部の会社にしか届かない、といった事態です。
対策はシンプルで、依頼内容を1枚のシートにまとめ、全社に同じものを渡すことです。項目は前掲の表に沿えば足ります。条件を変更したときは、そのシートを更新して一斉に配布し、いつ時点の版かを明記します。口頭だけの追加連絡は、伝わっていない前提で扱ったほうが安全です。
窓口も一本化しておきます。店舗ごとに担当者が違うと、紹介会社側は誰に連絡すべきか判断できません。採用担当が兼務の場合でも、連絡の受け口だけは一人に決めておくと運用が崩れにくくなります。
依頼後の運用。定例とフィードバック
依頼して終わりにせず、定期的に接点を持つと紹介の優先順位が上がりやすくなります。頻度は状況によりますが、目安として整理します。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 依頼直後 | 依頼シートの共有、質問への回答、初回紹介の目安時期をすり合わせる |
| 紹介を受けた都度 | 書類の合否と理由を、可能な範囲で具体的に返す |
| 月1回程度 | 進捗の共有、条件やターゲットの見直し、充足状況の連絡 |
| 内定・入社後 | 決定に至った理由、入社後の様子を共有する |
一番効くのは、紹介を受けた都度のフィードバックです。「今回は見送ります」だけで終えると、次も似た方が来ます。「調剤経験は十分だが、在宅の同行が難しいとのことで今回は見送り。在宅に関心のある方であれば経験年数は問わない」まで返すと、次の紹介が変わります。返信の速さも重要で、対応が遅い企業は候補者への提案順位が下がることがあります。
充足したときや募集を止めるときの連絡も忘れないでください。動いていない求人に紹介を続けさせるのは、パートナーとしての関係を消耗させます。
紹介を使いながら、他のチャネルも育てる
紹介は即戦力を短期間で確保しやすいチャネルですが、費用が発生します。どこまでかけられるかの考え方は薬剤師1人を採るのにいくらかけていいか。採用単価の考え方に整理しました。紹介を軸に据えつつ自社応募を並行して育てる進め方は紹介会社の手数料が重い。紹介依存を下げるための採用チャネルの組み立て方を参照してください。紹介会社との関係を整えることと、依存度を下げることは矛盾しません。
依頼シートに書く内容が社内でまとまらない、複数社への窓口運用が回っていない、といった段階でしたら、外から一度整理する手もあります。Talencoでは採用戦略の設計から選考・内定フォロー・初期定着までを伴走で支援しており、紹介会社を含めた各チャネルの歩留まりを上げる立場でご一緒しています。実務は社内で持つ「伴走コンサルティング」と、実務まで一貫して担う「フルサポート」の2プランをご用意しています。詳細は支援プランをご覧ください。
まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で、現在の依頼内容と紹介の状況をうかがいながら、採用設計をご一緒します。