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単発・スポット勤務で薬剤師に来てもらう。使いどころと限界

「明日、一人足りない」という連絡が入ったとき、1日単位で薬剤師に来てもらう選択肢を使っている薬局は増えています。スマートフォンから依頼できるサービスも出てきて、以前より手配しやすくなりました。ただ、使っているうちに「結局毎月誰かに来てもらっている」状態になり、店舗の手順が説明のたびに崩れていく。そんな実感を持っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、単発・スポット勤務を欠員の穴埋め手段としてだけ見るのをやめて、働いてもらってから口説ける接点として位置づけ直す考え方を整理します。求人票や面接では伝わらないことが、1日いっしょに働けば伝わる。その前提で、受け入れ側が何を準備し、どの段階でパートや常勤の話を切り出すかまで書きます。

スポット勤務が機能しやすい場面、しにくい場面

同じ1日依頼でも、場面によって得られるものは変わります。

場面スポットの使いどころ注意したい点
繁忙日・特定曜日の集中処方枚数が読める日に上乗せでき、既存スタッフの残業を抑えられる毎週になると実質的な定員不足。パート募集に切り替える判断が必要
有給消化・研修参加休ませたい人を実際に休ませられる事前に日程が分かるため、同じ人に継続して依頼しやすい
急な欠勤・体調不良その日を回す手段としては有効手順説明の時間が取れず、受け入れ側の負荷が最も大きい
新店の立ち上がり処方の流れが読めない時期を人数で支えられる店舗の手順が固まる前に外部の人が入ると、やり方が人ごとに分かれやすい
常勤候補の見極め働きぶりと相性を双方が確認できる選考と混同させない説明が必要。評価の場だと伝えると来てもらいにくくなる

欠員が出てから採用が決まるまでの数ヶ月をどう凌ぐかという視点は、薬剤師が採れるまでの間、店舗をどう回すか。欠員時の優先順位でも整理しています。スポット勤務はその選択肢のひとつ、という位置づけです。

使い続けたときに起きること

スポット勤務は「時間を買う」手段です。買い続けると、別のコストが現れます。

ひとつは説明コストです。初めて来る薬剤師には、レセコンの操作、在庫の場所、処方元の癖、在宅の申し送りを毎回説明します。説明する側は常勤の薬剤師で、その時間は本来の業務から引かれます。来てもらったのに全体の処理量が増えない、という状態が起こりがちです。

もうひとつは手順の形骸化です。人が入れ替わる前提になると、店舗独自のやり方が「口で伝える暗黙のルール」のまま残り、誰も文書化しません。結果として、新しく採った常勤やパートの立ち上がりも遅くなります。

三つめは既存スタッフの感情です。毎回教える役が固定の人に偏ると、その人が疲弊します。スポットを使うなら、教える側の負荷も人員計画の一部として見ておく必要があります。派遣を常態化させたときの構造と似ているため、派遣薬剤師をいつまで使うか。直接雇用への切り替えを設計するも合わせて読んでいただくと判断しやすくなります。

受け入れ前に決めておく2つのこと

スポットを接点として使うなら、来てもらう前の準備が成果を分けます。

業務範囲を限定する

その日に任せる業務を、あらかじめ狭く決めます。たとえば「調剤と鑑査まで、投薬は常勤が行う」「在宅の同行は依頼しない」「レセプト業務は触らない」といった具合です。範囲を絞ると説明が短くなり、来た薬剤師も戸惑いません。範囲外の相談が来たときに誰に聞けばいいかも、朝のうちに伝えておきます。

A4一枚の手順書を置く

毎回口で説明している内容を、一枚にまとめます。入れる項目は、開局から閉局までの流れ、レセコンの基本操作、在庫の置き場、処方元の特徴的な処方、休憩と昼の回し方、困ったときの連絡先。これは外部向けに作ったものが、そのまま新人やパートの初日資料として使えます。スポット対応のために作った資料が、採用後の受け入れに効いてくる形です。

常勤・パートの話は、どの段階で切り出すか

ここが本題です。来てくれた薬剤師に「うちで働きませんか」と言うタイミングを誤ると、売り込まれた印象だけが残ります。

段階伝えること伝えないこと
当日・開局前業務範囲、連絡先、感謝採用の話は出さない
当日・終業時「また来てもらえたら助かります」まで条件提示、選考の案内
2回目以降の終業時「定期で入れる曜日はありますか」と希望を聞く常勤前提の説明
継続して来てもらった後パート・常勤の枠があることと条件の概要返事を急かす言い方

原則は、1回目で採用の話をしないことです。1日だけ働きに来た人にとって、その日の目的は業務を終えることです。その場で勧誘されると、次回の依頼を受けにくくなります。

2回目以降、相手から「この店舗は働きやすい」という反応があったときに、曜日の希望を聞く形で入ります。週1回でも定期で入ってもらえれば、それはパート採用に近い状態です。条件の刻み方はパート薬剤師が集まる募集条件のつくり方。時間の切り方で応募数が変わるが参考になります。

なお、スポットで来てもらっている薬剤師が他社に在籍している場合、勤務の継続には先方の就業規則や労働時間の通算など確認すべき点があります。詳しくは他社に籍がある薬剤師を週1で受け入れる。副業・兼業の可否と条件で整理しています。

契約形態は提供元に確認する

単発勤務は、サービスによって契約の形が異なります。自社が直接雇用する形、派遣として受け入れる形、紹介を受けて雇用する形などがあり、それぞれ労働時間の管理、社会保険、勧誘の可否に関する取り扱いが変わります。短期・日雇いの労働者派遣については法令上の制約があり、年度や解釈で運用が変わることもあります。

直接声をかけて採用に進めてよいかどうかは、契約書に定めがある場合があります。「いい人だったから常勤に誘いたい」という段階になってから揉めないよう、依頼する前に提供元へ確認してください。あわせて、自社の受け入れ記録(いつ・誰が・どの業務を担当したか)を残しておくと、後の判断材料になります。

穴埋めで終わらせないための整理

スポット勤務を使うかどうかの判断は、単体では決まりません。欠員の緊急度、パート・常勤の募集状況、紹介会社の活用度合い、既存スタッフの負荷。これらを並べたうえで「この半年はスポットで凌ぎ、その間に定期で入れる人を探す」という組み立てにすると、場当たり対応から抜けやすくなります。

Talencoでは、チャネルの組み合わせと受け入れ体制をセットで設計する支援をしています。スポット勤務や派遣、紹介をどう位置づけ、どこを自社の採用で埋めるか。支援プランは実務の分担によって2通りあり、まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で現状をうかがいながら、採用設計をご一緒します。

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