複数店舗の求人をまとめて出すか、店舗別に出すか
店舗を5つ、10店と持つようになると、求人の出し方で必ず一度は迷います。「全店舗で募集中」と1本にまとめれば管理は楽ですが、勤務地が特定できない求人は候補者にとって応募しづらい。かといって店舗ごとに原稿を書き分ければ、更新も応募対応も倍に増え、担当者が兼務の会社では回らなくなります。
この記事では、どの店舗を単独で出し、どこをまとめるかの線引きと、店舗別に出すときの原稿の管理方法、そして「応募がどの店舗に来たのか分からなくなる」事故を防ぐ受付の設計までを整理します。
「全店舗で募集中」が応募を減らしやすい理由
薬剤師にとって勤務地は、給与と並ぶか、それ以上に重い条件です。通勤時間、保育園の送迎、配偶者の勤務地。これらは店舗が決まらないと判断できません。勤務地が「〇〇県内の当社各店舗」としか書かれていない求人は、候補者から見ると「応募してみないと分からない求人」になります。
もう一つ、実務上の問題として、求人検索エンジンや媒体の検索は市区町村単位で絞り込まれることが多く、勤務地が広域でまとめられていると、そもそも検索結果に出てこないことがあります。この仕組みについては求人検索エンジンに自社の薬剤師求人が出ていない。載せる仕組みと直す順番で扱っています。
一方で、全店舗を個別に出せばよいわけでもありません。応募が来ない店舗の原稿を10本抱えることになり、更新が止まり、古い条件が残ったまま放置される。まとめるか分けるかは、全店一律ではなく店舗ごとに判断するのが現実的です。
分ける・まとめるの線引き
判断の軸は3つです。欠員の緊急度、通勤圏の重なり、業務内容の違い。
| 軸 | 店舗単独で出す | 圏域でまとめる |
|---|---|---|
| 欠員の緊急度 | 数ヶ月以内に人を入れないと運営に支障が出る | 増員・将来の備え |
| 通勤圏 | 他店と電車・車で30分以上離れている | 同一市内など、候補者が通える範囲に複数店ある |
| 業務内容 | 在宅中心、無菌調製あり、特定の診療科の門前など特徴が強い | 内科系門前が中心で、業務の型が近い |
「急募の店舗だけ単独で出し、それ以外は通勤圏ごとにまとめる」。これが最も運用に乗りやすい形です。急募店舗は勤務地を明記して検索に引っかかりやすくし、残りは「〇〇市内3店舗(面接時に希望を確認)」のようにまとめる。まとめる場合でも、対象店舗の所在地と最寄り駅は原稿内に列挙してください。候補者が通勤可否を自分で判断できる状態にすることが目的です。
なお、圏内に薬剤師そのものが少ない地域では、まとめる/分ける以前に母集団の考え方が変わります。地方・郊外店舗の薬剤師採用。商圏の外から呼ぶか、中で探すかを併せてご覧ください。
原稿を「共通」と「差し替え」に分ける
店舗別に出すと決めたとき、毎回ゼロから書いていると続きません。原稿を2層に分けて管理します。
| 層 | 中身 | 更新のタイミング |
|---|---|---|
| 共通ブロック | 会社概要、理念、教育・研修、資格取得支援、休暇制度、給与レンジの考え方、選考の流れ | 制度が変わったとき(年1〜2回) |
| 店舗ブロック | 所在地・最寄り駅、処方元の診療科、1日の処方箋枚数の目安、在宅の有無、スタッフ構成と年齢層、シフトと土日の扱い、募集背景 | 店舗の状況が変わるたび |
共通ブロックはスプレッドシートやドキュメントに1つだけ置き、店舗ブロックだけを店舗ごとに用意します。募集を出すときは共通+当該店舗を結合する。この形にしておくと、制度改定のときに直す場所が1箇所で済みます。
注意したいのは、店舗ブロックが薄いと結局「全店舗共通の求人が店舗数だけ並んでいる」状態になることです。差がつくのは処方科目・スタッフ構成・募集背景の3点で、ここが埋まっていない原稿は分けても効果が出にくくなります。書き方の順序は薬剤師の求人票に応募が来ない。原稿を書き直す順番で詳しく整理しています。
応募がどの店舗に来たかを取り違えない
複数店舗で同時に募集すると、応募段階の混乱が起きます。よくあるのは、応募者が店舗Aに応募したのに、面接で店舗Bの話をしてしまうケース。候補者から見れば「聞いていた話と違う」となり、一度で信頼を失います。
防ぐには、応募が発生した時点で店舗を記録する仕組みを作ります。
- 媒体ごとに求人IDと店舗名の対応表を作り、応募通知が来たら最初に店舗欄を埋める
- 自社サイトの応募フォームは、店舗ページごとに「応募元」が分かる項目(隠し項目でも選択式でもよい)を持たせる
- 一次連絡の冒頭で「〇〇店の求人にご応募いただき」と明記し、認識をすり合わせる
- 面接前に、候補者が他店も検討対象かを確認しておく(希望が変わることは普通にあります)
管理表の列の持ち方は応募者を表で管理する。選考中の取りこぼしをなくす最小の仕組みにまとめています。応募元の店舗は、氏名・応募日と並ぶ最初の列に置いてください。
もう一点。まとめて出した圏域求人から応募が来た場合、配属店舗をいつ・どう伝えるかが次の論点になります。曖昧なまま選考を進めると、内定後に揉めやすくなります。
運用に乗る範囲で決める
理想は全店舗を個別に、丁寧に出すことです。ただ、採用担当が店舗運営と兼務している会社では、原稿が10本あれば更新が止まります。止まった原稿は古い条件を出し続け、応募があっても対応が遅れる。分けた結果として運用が破綻するなら、まとめたほうが成果は出ます。
目安として、自社で常時メンテナンスできるのは何本かをまず決め、その本数の枠内で「急募の店舗から順に単独枠を割り当てる」と考えると整理しやすくなります。残りは圏域でまとめ、四半期ごとに急募状況を見て入れ替える。この入れ替えの運用まで決めて、はじめて複数店舗の募集設計は完成します。
どの店舗を単独で出すか、圏域をどう切るか、原稿と受付をどう回すかは、店舗数・人員体制・エリアの状況によって最適解が変わります。Talencoでは、採用戦略の設計から媒体選定、応募対応の運用設計、入社後の初期定着までを伴走してご支援しています。実務は自社で行い設計と実行管理を任せる形から、実務まで一貫してお引き受けする形まで、体制に合わせて組み立てます。詳しくは支援プランをご覧ください。
まずは無料相談(約30分〜・オンライン)で、現在の店舗構成と募集状況をうかがいながら、採用設計をご一緒します。