採用を外部に頼むかどうか。自社でやる部分との切り分け
採用がうまく回らないとき、「どこかに頼んだほうが早いのでは」という話が出ます。一方で、紹介会社にも媒体会社にも採用代行にもそれぞれ営業が来ていて、言っていることが微妙に違う。何にいくら払っていて、どこまでやってもらえるのかが整理できないまま、「とりあえず見積りだけもらっておく」で止まっている——薬局・ドラッグストアの経営者や採用責任者から、よく聞く状況です。
外部に頼むかどうかは、「頼む/頼まない」の二択ではありません。採用の工程を分解したうえで、どの部分を外に出し、どの部分は社内に残すかという切り分けの問題です。この記事では、外部サービスの違いを課金構造から整理し、切り分けの線をどこに引くかを考えます。
外部サービスは「何に対して払うか」で分かれる
提供されるサービスの名前は似ていても、お金が発生する条件はまったく違います。まずここを揃えないと、比較ができません。
| 種類 | 主な課金の考え方 | 成果が出ない場合の費用 | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 人材紹介会社 | 入社が決まった時点で手数料(成果報酬型が一般的) | 原則かからない | 欠員が出ていて、今すぐ席を埋めたい |
| 求人媒体 | 掲載期間や応募数、クリックなどに応じて課金 | 応募ゼロでも掲載費はかかることが多い | 自社応募のチャネルを育てたい |
| 採用代行(作業の受託) | 稼働時間・作業量に応じた月額や従量課金 | 成果と関係なく発生 | 作業量が多く、社内に手が足りない |
| 採用コンサル・伴走支援 | 設計と進行管理に対する稼働報酬 | 成果と関係なく発生 | 何をどの順でやるかが決まっていない |
ここで押さえておきたいのは、成果報酬か稼働報酬かという違いは、優劣ではなく役割の違いだということです。成果報酬は「決まるまで払わない」ので一見リスクが小さく見えますが、1人あたりの単価は高くなりやすく、社内にノウハウは残りません。稼働報酬は成果が出なくても費用が発生する代わりに、採用の仕組みそのものに手が入ります。
紹介会社を減らすことが目的化すると、かえって欠員期間が延びることがあります。紹介は「席を埋める」ための有効なチャネルで、自社応募を育てながら併用するのが現実的です。チャネルごとの内訳とコストの見方は紹介会社の手数料が重い。紹介依存を下げるための採用チャネルの組み立て方で整理しています。
外に出しやすい作業、外に出してはいけない判断
工程を「作業」と「判断」に分けると、線が引きやすくなります。作業は手順を渡せば他人でも品質が保てるもの、判断は自社の事情を知らないと決められないものです。
| 外に出しやすい作業 | 社内に残したい判断 |
|---|---|
| 求人媒体の入稿・更新・効果の集計 | 採用要件(誰を採るか、何を譲れないか) |
| 応募者への一次連絡と日程調整 | 合否の決定 |
| 学校・キャリアセンターへの一次連絡と資料送付 | 条件提示の金額と内訳 |
| 求人原稿・説明会資料のたたき台作成 | 現場の実態の説明(忙しさ、人間関係、教育体制) |
| 応募者一覧の更新、進捗のリマインド | 配属店舗の考え方と決定時期 |
判断を外に出すと、短期的には楽になりますが、入社後に食い違いが出ます。たとえば現場の説明を外部が代行すると、候補者が聞いた話と入社後の実態がずれやすい。合否の基準を外部に委ねると、「なぜこの人を採ったのか」が社内で説明できなくなります。
一方で、要件や合否の基準を社内で決めること自体に支援が要るケースは多くあります。「経験3年以上」で止まっている要件の絞り込み方は薬剤師の採用要件を3つに絞る。「経験者希望」で止まっている会社へにまとめました。決めるのは自社、決め方を一緒に組み立てるのが外部、という分担が現実的です。
なお、当社は媒体運用だけ・スカウト送信だけといった部分代行は受けていません。設計と実行が切り離れると、数字が動いた理由も動かない理由も検証できなくなるためです。
依頼する前に、自社で用意しておく情報
外部に相談すると、ほぼ同じことを聞かれます。これが手元にないと、初回の打ち合わせが「現状のヒアリング」だけで終わり、提案が一段階遅れます。
- 直近2〜3年の退職者(時期・配属店舗・在籍期間・分かる範囲の理由)
- 店舗ごとの現在の人員と、法定・運用上の必要人数
- 出店や開局の予定、産休・定年など確定している欠員要因
- 過去に使った媒体・紹介会社と、そこからの入社人数、かかった費用
- 給与レンジと、既存社員との並び(どこまで出せるか)
- 採用に関われる社内の人と、1週間に割ける時間
退職実績から採用人数を置く手順は毎年何人辞めるかから、毎年何人採るかを決めるで具体的に扱っています。この表が1枚あるだけで、外部との会話の精度が変わります。
契約前に確認したい5つの質問
提案書の金額だけを見ても、良し悪しは判断できません。次の点を聞いておくと、稼働の実態が見えます。
- 実務を担当するのは誰か。 提案に来た人が担当するのか、契約後に別の担当へ引き継がれるのか。薬剤師採用の経験があるかどうかも含めて確認します。
- 月の稼働量はどれくらいか。打ち合わせは月何回・何時間か、その間の連絡手段と返答の目安はどうか。
- 自社側に発生する作業は何か。「お任せください」と言われても、合否連絡や条件決めは自社に残ります。自社の負担量を先に出してもらいます。
- 何をもって進捗と見るか。入社人数だけでなく、応募数・面接実施数・辞退の発生工程など、途中経過で見る指標を揃えておきます。
- 契約終了時に何が社内に残るか。原稿、学校リスト、応募者管理表、選考基準のメモ。外部が抜けた翌月から自社で回せる形で残るかどうかが、稼働報酬型を選ぶ意味そのものです。
成果報酬型の紹介会社については、手数料率より先に読むべき条項があります。人材紹介の契約書で見るところ。手数料率より先に確認する条項もあわせてご覧ください。
兼務体制なら、外に出す前に優先順位を決める
採用担当が店舗運営と兼務の会社では、外部に頼む前段として「社内で落としてはいけない業務」の特定が先になります。応募への返信が3日遅れると、どれだけ良い原稿でも面接にはつながりません。限られた時間をどこに置くかの考え方は採用担当が兼務の薬局で、採用業務を止めずに回す体制で扱っています。
外部に出すかどうかの判断は、おおむね次の順で考えると整理しやすくなります。
- 採用要件と必要人数を自社で決められているか → 決まっていなければ、まず設計から
- 決まった計画を実行する手が社内にあるか → あれば設計支援のみ、なければ実務まで含めた依頼
- 今すぐ埋めたい席があるか → 並行して紹介会社・媒体を使う
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Talencoでは、設計と実行管理を当社が担い実務は貴社で進める「伴走コンサルティング」と、実務まで一貫して対応する「フルサポート」の2つのプランをご用意しています。新卒(薬学生)・中途の両方、高卒・大卒の採用に対応しており、高卒採用の一人一社制など学校・行政のルールが関わる採用も設計からお手伝いできます。費用は人数・期間・体制によって変わるため、お話を伺ったうえでお見積りします。
どこまでを社内に残し、どこから外に出すか。その線引き自体から一緒に考えたい場合も含めて、無料相談(約30分〜・オンライン)で採用設計をご一緒します。プランの詳細は支援プランをご確認ください。