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学校・実習ルート

若手薬剤師を学校訪問に連れて行く。社内リクルーターの立て方

学校訪問やキャリアセンターへの挨拶を、経営者か採用担当が一人で回っている会社は多いと思います。名刺を渡し、求人票を置き、「ぜひ学生さんにご案内ください」と伝えて帰る。訪問記録は残るものの、翌年になっても学内での動きが変わらない。そんな手応えのなさを感じている方に向けた記事です。

同じ訪問でも、入社2〜5年目の若手薬剤師が同行すると、相手の反応が変わることがあります。キャリアセンターの担当者にとっては「この会社に進んだ卒業生が今どうしているか」が最も知りたい情報であり、学生にとっては社長の話より3歳上の先輩の1日のほうが具体的に想像できるからです。ここでは、若手を社内リクルーター(採用に関わる現場社員)として立てるときの、人選・話す範囲・店舗の調整・評価の扱い・年間の回数を整理します。

なぜ経営者一人の訪問では届きにくいのか

経営者や採用担当が話せるのは、会社の方針・規模・制度です。これは必要な情報ですが、学生が就職先を比べるときに知りたいのは「入って1年目の自分が何をしているか」に寄っています。1年目の投薬デビューがいつか、勉強はどう続けているか、国家試験直前に会社からどんな連絡が来たか。こうした話は、体験した本人が話すと具体になります。

キャリアセンター側の事情もあります。担当者は多くの企業から求人票を受け取っており、そのなかから学生に案内する先を選んでいます。卒業生が在籍していて、本人が学校に顔を出している会社は、担当者の記憶に残りやすくなります。 学校との接点そのものをこれから作る段階であれば、薬科大学・専門学校との接点がない会社が、最初にやることと大学キャリアセンターに渡す資料を作る。求人票と別に必要なものを先に確認してください。同行者を連れて行くのは、渡す資料が整ってからで構いません。

誰を連れて行くか

「話が上手い人」を基準にすると人選を誤ります。学生は営業トークを見分けます。優先すべきは次の順です。

判断軸見るポイント補足
出身校訪問先と同じ学校の卒業生か研究室・ゼミが近いとさらに話が通る
在籍年数おおむね2〜5年目1年目は業務の習得を優先。ベテランは学生と距離が出やすい
業務の状態現在の担当業務を自分の言葉で説明できるか流暢さより具体性
本人の意思断れる状態で打診して、引き受けているか業務命令で連れて行くと表情に出る

出身校の卒業生がいない学校もあります。その場合は、地域や進学経路が近い社員でも代替になります。誰を連れて行くか以前に、どの学校へ何回行くかが決まっていないなら、地方の薬科大学と都市部の大学、どちらを開拓するか。学校リストの優先順位で候補校を絞ってからのほうが動きやすくなります。

打診のときは、目的(学生に1年目の実像を伝えること)、所要時間、当日の役割、店舗の手当てを最初に伝えます。「ちょっと付いてきて」では、当日に何を話せばいいか分からないまま黙って座ることになります。

話してもらう範囲を決める

同行者に台本を渡すと不自然になりますが、範囲を決めないと二つの失敗が起きます。ひとつは会社案内の朗読になること、もうひとつは待遇や人間関係の愚痴に寄ることです。事前に「話してほしいこと」「答えられないときの返し方」を握っておきます。

  • 話してほしいこと:入社の決め手、1日の業務の流れ、1年目で戸惑ったこと、今できるようになったこと
  • 会社側が答えること:給与テーブル、配属の決め方、制度の詳細、選考のスケジュール
  • 答えを持っていないときの返し方:「私の店舗ではこうですが、全社の決まりは担当から回答します」

大事なのは、良いことだけを言わせないことです。忙しい時期がある、想像より覚えることが多かった、といった率直な話は、学生の信頼を得やすくなります。ただし事実でないこと・個人が特定される話・他社を下げる発言は避けるよう伝えます。**「困ったことも話していい。ただし、その後に会社がどう対応したかまでセットで話す」**という線引きが運用しやすいです。

苦情に近い内容が出てきた場合は、その場で否定せず、帰社後に事実関係を確認します。学校訪問は採用活動であると同時に、現場の実態が聞こえてくる機会でもあります。

当日に話す3分の型

学内セミナーでもキャリアセンターへの挨拶でも、若手が話す時間はそれほど長くありません。3分で収まる型を一つ持たせておくと、どの場面でも使い回せます。

  1. 自己紹介(30秒):出身校・卒業年・現在の勤務地と担当業務
  2. 入社の決め手(45秒):他社と迷った点と、最後に決めた理由を一つだけ
  3. 今の1日(60秒):出勤から退勤までを時系列で。数字より行動で
  4. 1年目に戸惑ったこと(30秒):と、それがどう解消したか
  5. 学生へのひとこと(15秒):当時の自分に言いたいこと

練習は一度で十分です。声に出して通して、長すぎる箇所を削る。完成度を上げるより、本人の言葉のままにしておくほうが届きます。学内で単独の説明会枠をもらえた場合の進行は大学で自社単独の説明会を開くには。学内セミナーの申し込みから当日までにまとめています。

店舗を空ける調整と、評価上の扱い

社内リクルーターが続かない最大の理由は、現場負担が本人に寄ることです。ここを制度として決めておきます。

論点決めておく内容
勤務扱い訪問・移動の時間を業務時間とする。時間外になる場合の取り扱いも明記
シフト同行日を確定した時点で、店舗のシフト作成前に本部から共有
交通費・実費出張規定に沿って処理。立て替えの精算方法を先に伝える
評価「採用への貢献」を評価項目に置くか、または一時金・手当として切り出すか
送り出す店舗抜ける店舗の管理薬剤師に、目的と頻度を事前に説明する

評価に載せるなら、入社人数のような本人が制御できない結果ではなく、出動回数や訪問後の記録提出といった行動で見るほうが公平です。手当として切り出す場合は、社員紹介の謝礼と混同されないよう区別しておきます。制度化の考え方は薬剤師の紹介を社員にお願いする。リファラル採用を制度にする手順と近い部分があります。

年間の出動回数をどう決めるか

年間の回数は、学校数から決めるのではなく、一人あたりの負担上限から決めます。目安として、2〜5年目の社員が通常業務を維持しながら関われるのは、年3〜5回程度と考える会社が多いようです。半日以上店舗を空ける日が毎月あると、指導や患者対応の連続性が崩れます。

決め方の手順は次のとおりです。

  1. 年間の学校関連イベント(訪問・学内説明会・合説・実習受け入れ)を一覧にする
  2. 若手の同行が効く場面だけを選ぶ(求人票の提出だけなら担当一人で足りる)
  3. 選んだ場面を、出身校の対応関係で社員に割り振る
  4. 一人あたり年3〜5回を超えたら、同行者を増やすか場面を削る

薬学生の動ける時期は学事に強く縛られます。訪問の山をどこに置くかは薬学生の新卒採用スケジュール。6年制の学事と採用活動の重ね方を前提に組んでください。

一度で終わらせないための記録

訪問後は、同行者に短い記録を残してもらいます。面会した担当者名、学生から出た質問、答えられなかった質問、次に呼ばれそうな機会。この4項目だけで構いません。答えられなかった質問は、次回の説明資料に反映します。学生の質問は、そのまま自社の説明の穴を示しています。

社内リクルーターは、置いただけでは機能しません。人選・話す範囲・店舗の手当て・回数の上限という四つを先に決めておくと、二年目以降も同じ形で回しやすくなります。


学校ごとの優先順位づけ、同行者の人選基準、年間の訪問計画づくりは、自社の体制に合わせて設計する部分です。Talencoでは、採用戦略の設計から説明会・選考・内定フォロー・初期定着までを伴走支援しています。実務は自社で行い設計と実行管理を任せる「伴走コンサルティング」と、実務まで一貫して対応する「フルサポート」の2つの支援プランをご用意しています。

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